>>> 2011年の富士登山
 2012年7月16日(月/祝)~17日(火)に富士登山をしてきた。
昨年も計画した海の日絡みの三連休最終日と翌火曜日。登山道も山小屋も空いているだろうと思ったが、台風6号の接近により翌週に延期してした。今年こそ当初の予定日に登ろうと思ったけど、今年は雪解けが遅い。吉田口登山道(スバルライン口)は山小屋の従業員、山岳ガイドなどのラッセル(雪かき)の努力もあり7月上旬には登山道は開通した。吉田口往復なら良いのだけれど、今回は富士山の南側にある側火山宝永火口に寄りたいので、御殿場口登山道に開通してもらわないと成らない。御殿場口は五合目から六合目までは早い時期に開通したけど、肝心な六合目から山頂までは通行止めになったままだ。
 ところが、WEBを見て回っていると御殿場口を登り下りしている人のレポートがあり、雪もほとんど無く、危険地帯も無いみたいだ。「行ってだめだったら諦めよう」と吉田口から登り、御殿場口を降り、途中から宝永山・宝永火口を通り富士宮口新五合目に降りるプランを立て決行した。

スバルライン口から登る
 富士山には現在四つの登山口があり、昨年はどこから登るかの検討もしたが、今回は一番便利なスバルライン口五合目から登ることにした。何が便利かというと、昨年作成した「登山口比較」を見ていただければ判ると思うが、富士山全登山者の約6割がスバルライン口五合目から登っている。ここには新宿西口からの直通高速バスのほか、富士登山の起点となっている富士山駅(旧 富士吉田駅)からも登山バスが走っている。要は首都圏から2時間半で五合目まで行かれる便利さがあるのだ。富士山駅には富士急行線のほか各地から高速バスが集まっていて、特に夏休み期間中は登山者の利用が多いと聞いた。

富士山登山口比較

登山口標高(m)登山
時間
下山
時間
登山者数
割合
登山バス高速バス
吉田口
スバルライン五合目
2,3056:30
4:00
184,320
57.5%
河口湖駅新宿駅西口直通
(河口湖駅行き)横浜駅・
 大宮駅・関西など
須走口新五合目1,9707:00
3:40
48,196
15%
御殿場駅
新松田駅
(御殿場駅乗り換え)
 東京駅・新宿駅
御殿場口新五合目1,4408:15
4:30
9,845
3%
御殿場駅
富士宮口新五合目2,3905:45
3:50
78,614
24.5%
富士駅
新富士駅
富士宮駅
三島駅
静岡駅
(富士宮駅乗り換え)
 東京駅
(三島駅乗り換え)
 新宿駅
★登山者割合は、環境省が登山道の8合目に設置した赤外線センサーの値から算出
  計測期間は、平成22年7月1日~8月31日
★登山バスは、登山期間のみ運行
☆高速バスは、ほぼ通年運行
●登山口はほかに、精進口、須山口などもあるが省略

■日程を確認
 さすがネットの時代、富士山の山小屋も予約可否をHPで公開しているが、三連休の13日(金)、14日(土)15日(日)は「×」、つまり満員だ。もちろんバスも。ところが、三連休最終日の16日(月/祝)になるといきなり「○」になる。そりゃ一般的なサラリーマンだったら三連休の翌日に休暇は取りにくいだろう。 土日に仕事をする私としては17日(火)を臨時休業として、16日~17日に富士登山をしても問題ないので、山小屋「富士山ホテル」を電話で予約し、高速バスをネットで予約・購入した。

 

■行 程

1日目(日の入 19時00分)

新宿西口BT京王高速バス
五合目直通
スバルライン口五合目登 山本八合目
富士山ホテル
08:4011:05/12:0017:00

2日目(日の出 04時44分)

富士山
ホテル
登山吉田口
十合目
お鉢めぐり剣が峰お鉢めぐり御殿場口
十合目
05:0006:30/07:0008:00/08:3008:40/08:50
 
下山宝永山下山富士宮口
新五合目
バスJR富士宮駅バス東京駅
日本橋口
11:20/11:3013:00/13:3014:30/15:2517:51

■高度順化 って何だ
 富士登山では、山頂まで往復の体力が心配であるが、もう一つ忘れてならないのが高山病だ。
高山病は体内の酸素不足が原因のひとつで、初期の症状として心拍数上昇、呼吸数の増加があり、高度を上げるに従って頭痛や眠気、嘔吐があり、さらに重くなると脳水腫や肺水腫、一時的失明などから死に至ることもある。
 御殿場口以外の五合目はすでに標高2,000m前後で空気も薄く、車から降りた途端に高山病の症状を訴える人も居て、たとえその場で発症しなくても登山中に体調不良が現れることもあり得る。対策としては、五合目に着いてすぐに登り始めないで、1~2時間そこに留まって体を高度に慣らすことが必要だ。 そんなわけで、新五合目に着いてから食事、トイレ、散歩で1時間ほどプラプラすることにした。
 また、登山中は十分な水分補給、大きな呼吸を心がけることも高山病回避に良いらしいのでこまめに実行することにする。

リンク  富士山って活火山だよ


~ 1 日 目 ~
2012年7月16日(月/祝

いざ出発

五合目~六合目(標高差 85m コースタイム 40分)
 三連休最終日とあって中央道の渋滞も心配されたが、全くガラガラで時間通りにスバルライン口五合目に到着した。と思いきや、駐車場は観光バスで溢れていて、なかなか停留場に辿り着けない。その辺で降ろしてもらっても良いんだけど、そうも行かないんだろう。
 でもってこの観光バスは何かというと、中国人観光客のバスで、中国人に富士山五合目が人気らしいんだ。それで、ツアーに五合目見物が含まれていて、彼らは国に帰ると「富士山に登ってきたぞ!!」と自慢するらしい。
 画像は、左に出発間近の新宿行 富士急行バス。その右が乗ってきた京王バス。後ろのカラフルなのは観光バスで、後ろの「五合園レストハウス」の前にも観光バスが。
富士登山の画像
 トップ画像は、五合目から見た富士山頂方面。
今日は天気も良く、五合目からも山頂方面がよく見えた。
 スバルライン五合目は昔からの吉田口登山道とは離れたところに造られたため、本格的な登山道に入る前に、林道を少し歩くことになる。15分ほど歩いた泉が滝で林道と離れ登山道となる。林道をそのまま真っ直ぐに進むと昔からの佐藤小屋と星観荘のある吉田口五合目となる。林道はそのまま麓まで続いているが、演習場内を通過するため一般人は通行出来ない。
富士登山の画像
 泉が滝で標識に沿い六合目方面への道を取るとすぐに山道となる。登山道の両側には木々が茂り、下界や山頂方面の展望はきかない。途中ではツアーガイドがツアー客を相手に説明をしているが、出来る限り山道の端でやってもらいたいものだ。
 五合目と六合目は標高差 85mしかないが、泉が滝までが緩い下り坂となっているので実質 120m登ることになる。
富士登山の画像

六合目~七合目(標高差 210m コースタイム 60分)
 六合目には安全指導センターがあり、登山者に対して地図や注意事項のかかれたチラシを配っている。あまりの軽装登山者はここで追い返されることもあるそうだ。左下に、指導センターとトイレがある。
 下界の街は、富士吉田市と忍野村 & 北富士演習場
富士登山の画像
 六合目から風景は一変し、砂防工事が施された人工的な登山道となる。森林限界を過ぎ大きな樹木はなくなり、オンダテの黄色い花が目立つ様になる。この頃から発生したガスが登って行き、山頂方面が見え隠れする様になってきた。 富士登山の画像
 登山道から山頂方面を見上げると、手前に日の出館があり、上へ階段状に山小屋が連なっているのが見える。中央上に赤い鳥居が小さく見えるが、本七合目 鳥居荘だ。まだ、 400m位ありそうだ。 富士登山の画像

七合目~本七合目(標高差 200m コースタイム 45分)
 指導センターから登ること50分、予定より10分早く七合目花小屋(標高 2700m)に到着。ここら辺で宿泊すると翌朝 900m近く登らなければならないので、あまり使われない様だ。小屋のHPを見ても休前日以外は「空き」の日が多い。 富士登山の画像
 花小屋を出ると砂防工事をされたジグザグの登山道をしばらく登ることになる。
 休日だというのに登山者が少ない。週末などの画像を見ると登山者が連なって登っている光景を目にする。
 午後になり、下からガスが次々に上がってきて、景色を遮るがしばらくすると晴れる・・・の繰り返しが続く。
富士登山の画像
 花小屋の次の小屋日の出館(標高 2,720m)の手前から登山道は岩場へと変わる。さほど傾斜の強い岩場ではないが、滑って落ちる登山者もいる様なので注意は怠らない様に。特に夜間や荒天の際は気をつけたいところだ。
 横のクサリは登山道を示すものであって登山者がつかまるものではない。ので、外れることもあるそうだ。
 右下の案内板には、「山頂まで 3.8km 295分」と記載。あくまでも標準的な時間表示なので、早い遅いは人それぞれ。私の場合、今のところは標準時間で登山可能!
富士登山の画像
 鎌岩館(標高 2,790m)を過ぎたところで見上げると、山頂方面を見渡すことが出来た。
 右側の沢は吉田大沢で、以前は下り専用として使われていたが、昭和55年(1980年)に死者12人、負傷者31人を出した落石事故で閉鎖となった。確かにここを下れば早そう
富士登山の画像
 六合目付近から見えていた赤い鳥居がいよいよ近づいてきた。「おお、頂上だ」と喜んでいる人も居るけどそんなに近いわけがない!!
 この辺から本七合目と呼ばれる地帯に入り、最初の小屋が明治2年創業のその名もずばり鳥居荘(標高 2900m)だ。ここも週末以外は空いている日が多い様だ。
富士登山の画像

本七合目~八合目(標高差 300m コースタイム 90分)
 本七合目 鳥居荘をでても岩場が続く。以前はここら辺の標高になると植物は生えなかったらしいが、いまではこの少し上まで見ることが出来る。やはり温暖化しているのだろうか。 富士登山の画像
 鳥居荘から 200m、約40分で太子舘(標高 3100m)に着く。間違っても 大使館 ではない! 。太子舘とは、「聖徳太子が空を飛ぶ馬に乗り富士山に登った時、休憩した場所がちょうどこの場所であった、という伝説に由来しています」 正に伝説だね。 富士登山の画像

八合目~本八合目(標高差 150m コースタイム 60分)
 太子館から蓬莱館(標高 3150m)を経て 30分で八合目 白雲荘(標高 3200m)へ。ここは小屋前が広く、テレビのロケや中継でよく使われる。小屋前はほとんどが上の画像程度に狭く、これほど広いのは富士山でも珍しい。
 国内標高第2位の山は南アルプスの北岳で標高 3193m。と言うことは、白雲荘まで登ると北岳より高いところに来たわけだ。
富士登山の画像
 蓬莱館から元祖室(標高 3250m)を過ぎ、八合目 江戸屋(下江戸屋)を通過すると間もなく今日の宿泊地 冨士山ホテルに到着のはずだがなかなか江戸屋に着かない。そうこうしているうちに山小屋が見えたら・・・、あら、冨士山ホテルに着いてしまった!! 「江戸屋は何処に?」と良く考えると、下江戸屋は下山道に面していて、登山道を登って来ても通らないわけなんだ。
江戸屋は八合目と本八合目にあり、八合目を「下江戸屋」、本八合目を「上江戸屋(胸突き江戸屋)」と呼んでいる。
富士登山の画像

富士山ホテル着
 午前11時40分から登り始め、16時00分 今日の山小屋 本八合目富士山ホテル に到着した。
チェックインし宿泊料金 7,900円(1泊2食/税込み)を支払うと寝床に案内された。ホテルとは言え山小屋なので、2段ベッドの半畳ほどが一人のスペースだ。
(画像が無いので昨年のものを流用)
富士登山の画像
 山小屋では昨年と同じく本館2階に通された。2段ベッドに寝袋と毛布が敷かれていて、昨年は6番だったが今年は10番だ。ほとんど同じ場所だ!
 昨年より早く到着したにも関わらず、すでに横になっている人が結構いる。皆さん何時頃に着いたんだろうか。隣の人は10分くらい前に着いたとのこと。カーテンを引き寝ている人も居そうなので静かに着替えることにする。
 夕食は10人から15人位ずつまとめて食べることになる。昨年は5時指定だったけど、今年は5時半だ。食事まで時間があったので小屋の前で下界を見ていたが、徐々にガスが上がってきて見えなくなる、しばらくするとガスが通り過ぎまた下界が見える・・・を繰り返していた。
 夕食は昨年と全く同じ。カレーライス+ハンバーグ+ソーセージ2本と200mlのお茶パックが1本。ちょっと物足りない様だけど、あまり食べると腹も膨らみすぎるので適当なところにしておこう。昨年同様、高山病対策もありビールなどアルコール類は我慢した。

 何もすることもないので7時過ぎにはベッドに入った。昨年は携帯電話付属のウオークマンで音楽を聴いていたけど、バッテリーの消耗が激しく携帯電話として機能しなくなりそうになったので、今年は 100円ライターよりひと回り大きいデジタルレコーダーを持参した。これは小型で良いんだけど、元々会議などの録音用レコーダーなので内蔵メモリ容量が 256MBしかない。GB(ギガバイト)じゃないんだ。だから高音質圧縮(256Kbps)だとアルバム1枚分(14~5曲)位しか入らないので、音質は落ちるが曲数を増やせる高圧縮(64Kbps)に落としてコピーした。曲は、キャンディーズ・ベスト、聖子Box1~3、石川ひとみベスト、シルビー・バルタンでほぼ満杯になった。

スバルライン口標高到着/出発
五合目2,305m--:--/11:40
泉が滝2,275m11:54/--:--
六合目安全指導センター2,390m12:15/12:18
七合目花小屋2,700m13:08/13:20
日の出荘2,720m13:24/--:--
トモエ館2,740m13:29/--:--
鎌岩館2,790m13:37/--:--
富士一館2,815m13:42/--:--
本七合目鳥居荘2,870m13:52/14:05
東洋館2,910m14:12/--:--
太子館3,050m14:40/14:50
蓬莱館3,100m15:08/--:--
八合目白雲荘3,205m15:25/15:35
元祖室3,250m15:40/--:--
本八合目富士山ホテル3,350m16:00/--:--
歩行時間 3時間30分 休憩時間 50分


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