ヨーロッパ鉄道旅行 6 スイス鉄道旅行 スイス国鉄

スイス鉄道旅行

スイス国鉄

スイス鉄道旅行 スイス国鉄

スイスパスって
 スイスは狭い国ながら 5,100kmにおよぶ鉄道網を有し、さらにその4割が私鉄路線という特徴を持っています。スイス国内では私鉄間の乗り入れも多く、また鉄道員の服装もあまり変わらないため知らずに乗っていると会社が変わったことがわからない場合もあります。

 今回の旅行ではスイス国内フリーの「スイスパス(Swiss Pass)」を使いました。通用期間中は国鉄、私鉄はもちろん湖船やポストバス(PTT)、主要24都市の都市交通(トラム、バス)がフリーで、そのつど窓口に並ぶ必要はなく、荷物も持ち歩かなければならない個人旅行では価値の高いチケットです。ただし、登山鉄道やロープウェイ・ケーブルカーなど山に登る交通機関には通用せず、パスを呈示して25%割引きの料金で切符を買うことになります。登山鉄道でもパスが通用する区間があり、パス購入時に付いてくる地図で調べる必要があります。スイスパスの場合は特に料金の高い登山鉄道がフリーでないため、登山鉄道やケーブルカー、ロープウェイに多く乗る場合「半額カード(Haif Fair Travel Card)」の方が得かも知れません。こちらの方は国鉄、私鉄、登山電車が半額になるので、2~3ケ所の高額な登山電車に乗れば元が取れます。ただし、乗る度にチケットを買う手間がありますが・・・。

ユーレイルパス

---4日間8日間15日間1月間
1等車用24,900円29,800円35,000円48,200円
2等車用16,600円20,900円24,000円33,200円
スイスパス料金

 9月下旬はスイスでは完全な「オフ・シーズン」で、列車などは空いていると出発前に聞いたので、2等用8日間を使用しました。オン・シーズンは結構混雑するので、1等用が良いかも知れません。

公式時刻表
   鉄道旅行の必須アイテムとして時刻表があります。代表的なポイントを回る観光旅行ではトーマス・クックのもので十分間に合いますが、各駅停車や路線バスを調べるのには公式時刻表が必要です。これはスイス国内鉄道、ポストバス(路線バス)、国際列車の3分冊で大変詳しく乗っていますが、詳しすぎて見にくいのが難点です。この公式時刻表は「スイス観光局」で1,500円で販売されていますが、神保町界隈の大手書店では2,500円前後でした。

スイス国鉄
   スイスには3つの公用語がありスイス国鉄もSBB(独語)、CFF(仏語)、FFS(伊語)の表記をボディーにペイントしています。線路幅は国際標準ゲージの1435mmですので、近隣諸国からのEC(Euro City =国際特急)など国境を越える列車も多く、また、ジュネーブ、ローザンヌ、ベルンにはフランスTGVが、チューリッヒにはドイツICEが入っています。国際特急を見ているとSNCF(フランス国鉄)、DB(ドイツ国鉄)、FS(イタリア国鉄)等が連結されていて楽しいものです。私の目からみるとFSの車両は、古いのかもしくは整備が行き届いていないのかわかりませんが、ほかに比べて見劣りがします。

 列車は電気機関車牽引の客車列車が多く、チューリッヒ近郊には「Sバーン」と呼ばれる近郊電車が走っています。この呼び方はドイツ国内で良く聞かれますが、チューリッヒがドイツ語圏であるためそのまま使われているようです。ちなみに、チューリッヒ中央駅などもドイツ語で「Zurich Hbf(Haupt barn hof)」と標示されています。南部のイタリア語圏ルガノ(Lugano)では駅構内の売店「kiosk」が「chiosco」と標示されていました。

ユーレイルパス   さて、スイスは物価が高くホテル代もバカになりません。プランニングの段階で夜行列車を使うことも考えましたが、東西 250km、南北 200kmの国土で、列車評定速度が高いとあっては国内のみの夜行列車の設定はありません。周辺国からの夜行列車はたくさんありますが、夜中にスイス国内を通過して隣国抜けてしまうのでお話になりません。また、スイス発でローマ行き、ベルリン行きなどの列車もありますが、寝ている間にスイスパスのエリアを出てしまうので使えません。そんなわけで、列車ホテルのプランは取りやめになりました。

  最近スイス国鉄がフランス国鉄からTGV南東線用の車両を一編成購入しました。私もローザンヌ駅の引き上げ線に止まっているところを見かけましたが、「SBB CFF FSS」のレタリングを入れただけで塗装などはそのままでした。スイス国鉄の車内誌「Le Magazine du Rail」によると、ジュネーブとスペインのバルセロナ(Barcelona)間の「CATALAN TALGO」号(スペイン国鉄のタルゴ型車両で運転)のジュネーブ~モンペリエ(Montpellie) 間をこのTGV車両に置き換え時間短縮を計ろうというものです。リヨン・パール・デュー(Lyon・P・D)~ヴァランス間には完成したばかりのTGV専用線があるので、ここで飛ばすのではないかと思います。

スイス国鉄狭軌線~ブリュニヒ線
   スイス中央部のインターラーケン・オスト(Interlaken Ost)とルツェルン(Luzern)間74Kmを結ぶブリューニヒ(Brunig)線はスイス国鉄唯一の狭軌線で、風向明媚な路線です。ゲージは1000mmで、電圧15kV、周波数16 2/3Hzの交流電化です。途中マイリンゲン(Meiringen)とギスヴィル(Giswil)間のブリューニヒ峠には、Riggenbach式のラックレール区間があり、最急勾配 120%でこれを越えます。スイスの鉄道には全線にわたりラック・レールを使用する登山鉄道と、粘着区間とラック区間が混在した一般鉄道とがあります。このブリューニヒ線は後者に属します。

 インターラケン・オストを出発すると列車は右手にプリエンツ湖を見ながら走ります。マイリンゲンまでは湖の縁を長いトンネルを掘らず湖岸に沿った路線で急カーブが続きますが、機関車牽引の車体長の短い車両は快調に飛ばします。この機関車がまた素晴らしく、某T武鉄道の8000型電車よりも優れた加減速ですが、連結部分に付いたバッファーのおかげでショックは全く感じられません。

 オスト駅から約20分でラック式SLで有名なBRB(ブリエンツ・ロートホルン鉄道)の起点プリエンツに、さらに10分でマイリンゲンに着きます。列車はここでスイッチバックし、ラック区間のブリューニヒ越えに入ります。ただし、すぐにラック区間いはならず、山肌に沿って徐々に高度を稼ぎ、これ以上粘着運転ではダメだと言うところでラックが始まります。マイリンゲンを発車後7~8分のところで15km/h位まで速度が落ち、機関車のラックが噛み合う音とともにラック区間に入ります。ラック入口には「A」が、出口には「E」が表示されています。
 峠のブリュニヒ駅までラックで登り、駅からはラックを噛みながら下ります。谷が開けたルンゲルンからザルネン間は湖を左手に見ながら緩い勾配を下りますが、途中何カ所か短いラック区間があります。この付近は湖水のほとりに立つ教会や家々がいかにもスイスらしさろ感じさせてくれます。

ユーレイルパス   さて、終点の少しまえにアルプナッハシュタット(Alpnachstad)と言う駅があり、ここから世界一急勾配で知れれるPB(ピラトス鉄道)が出ています。最急勾配は 480パーミルは一見するとケーブルかーの様ですが、ロッヒャー式ラックシステムで登っていく登山鉄道で、ゲージも 800mmと言うことなので大変魅力的な鉄道ですが、日程の都合で乗れなかったのが残念です。

 さて、車両の禁煙・喫煙区分ですが、日本の用に禁煙車・喫煙車と車両ごとに分かれているのは少なく、車両の3分の1くらいがガラスで仕切られ、禁煙室・喫煙室に分かれています。喫煙人口が減っている国だけあって禁煙車の人気は高く、禁煙車のボックス席は埋まっていても、喫煙室はガラガラというケースがよく見受けられました。私はタバコを吸いませんがブリューニヒ線では2等喫煙室に座っていました。禁煙室の混雑に比べこちらは終点まで乗客はなく、のんびりと車窓を楽しみました。

 ところで10月1日よりこのブリューニヒ線に、新しいパノラマ1等車が投入されました。車両は氷河急行のパノラマ車同様天井まで窓のあるパノラミックな仕様ですが、1等乗車券のみで追加料金は不要のことです。留置線のあるオスト駅やマイリンゲン駅で目を皿のようにして見ていましたが、残念ながら現車確認は出来ませんでした。
 なお、アルプナッハシュタット駅にはインターラーケン・オストとルツェルンを結ぶ急行列車は停車しません。「観光地の駅なのに」と思いましたが、スイスではほかにもウイリアム・テルゆかりの地アルトドルフ(Altodolf)駅なども各駅停車にお世話になる駅があり、公式時刻表が必要になります。

車両記号表記
   さて、ここでスイスの鉄道車両の記号表記を簡単に紹介したいと思います。これは国鉄・私鉄ともほぼ共通のようです。

機関車 (例) HGe4/4II 102
HGe4/4IIが形式で、102が車両番号
H:ラック歯車付き
G:狭軌線用   T:入れ換え用(標準軌の場合、最高速度によりR、A、B、Cが付く)
e:電気機関車  m:ディーゼル機関車  なし:蒸気機関車
4/4:駆動軸数/全軸数
II:形式を区別する数字で、登場順にI、II、IIIとなる
102:車両番号(製作順序番号ではありません)
電車 (例) BDeh2/4 44
BDe2/4が形式で、44が車両番号
A:1等客室付き  B:2等客室付き  (C:3等客室付き)
D:荷物室付き (F:貨物室付き)
e:電車    m:ディーゼル動車
h:ラック歯車付き
2/4:駆動軸数/全軸数
形式を区別する場合は、登場順にI、II、IIIとなる
44:車両番号(製作順序番号ではない)
客車 (例) ABt 4154
はじめのABtは設備を示す記号で、4154が車両番号
形式の概念はなさそう  客車と付随車は区別しない
A:1等客室付き  B:2等客室付き  (C:3等客室付き)
D:荷物室付き ×:事業用車
t:運転台付き

搭乗日搭乗区間便名
9月19日TOKYO/NARITA(11:55) ~ BRUSSELS(17:05)SN208
BRUSSELES(18:35) ~ GENEVA(19:45)SN373
9月29日ZURICH(9:45) ~ BRUSSELS(11:10)SN362
10月2日BRUSSELES(14:30) ~ TOKYO/NARITA(9:55)SN207

成田到着は翌日

乗車日乗車区間列車種別
9月20日ジュネーブ(7:48発)~ヴィスプ(10:12着)1915
ヴィスプ(10:36発)~ツェルマット(11:45着)普通
ツェルマット(13:12発)~ゴルナーグラド(14:00着GGB
ゴルナーグラド(15:07発)~ツェルマット(16:00着)GGB
9月21日ツェルマット(8:10発)~ブリグ(9:34着)普通
ブリグ(10:42発)~シュピーツ(12:12着)IC332

旅行期間 1933年4月23日~5月4日

本HP上のデータは、1993年のものです。

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