ヨーロッパ鉄道旅行 4 TGVで<p>南仏プロバンス

TGVで南仏プロバンス

TGVで

南仏プロバンス

TGVで南仏プロバンス


世界遺産アルルの遺跡とロマネスク教会

空は大荒れ!!
  去る、12月21日から1月1日までフランス国内を列車旅行してきました。今回は往復に全日空を使いましたが「冬休み前だから空いているだろう」という予想とは裏腹に、パリ行き205便ジャンボ747ー200LRは満席でした。この日は日本海を低気圧が北上していたため離陸してから4時間余り飛行機が大きく揺れ、飲物や食事のサービスがなく、またトイレに立つことも禁止。でも、揺れがおさまりベルト・サインが消えたあとは順調な飛行で、12時間後の現地時間16時25分定刻通りパリ シャルル・ド・ゴールへ到着です。

搭乗日搭乗区間便名
1993.12.21TOKYO/NARITA(11:55)~ARIS/CHARLES DE GAULLE(16:25)ANA205
1993.12.31.PARIS/CHARLES DE GAULLE(18:45)~TOKYO/NARITAANA206

  今回はフランス国内だけの列車旅行の予定なので「フランス・バカンス・パス」(2等車4日間用=21,000円)と言うフランス国内のみフリーのパスを使い、パリを中心に南仏マルセイユ、エクス・アン・プロバンス、アルルと新しい「TGV 北ヨーロッパ線」で北部の都市リールを回りました。パリ~マルセイユをTGVで往復するとおおよそ20、000円かかるので、リール往復分が浮いた計算になります。

TGVが・・・
  日本でも報道されたようですが、12月21日TGVの新線で走行中の列車が脱線する事故がありました。私がド・ゴール空港から市内のホテルにつき、テレビのニュースを見ているとTGVが脱線して先頭車が傾いている場面が映し出されました。時速300kmの高速走行中にも関わらず大惨事は免れ乗客一人がけがをしただけの事故だったようです。予定では事故のあった新線に乗るのは一週間先なのでそれまでには何とかなるだろうとそれ以上気にも止めていませんでしたが・・・。

TGVで南仏へ
  12月21日から24日までパリに滞在し、メトロやRER(パリ市内に乗り入れる近郊電車)で市内を回り、24日のクリスマス・イブにはホテル近くのノートルダム寺院(Notre-Dame)サン・ジェルマン・デ・プレ教会(St-German des Pres)へ行き、夜中のミサみ参加。翌25日はクリスマスの祝日に当たり、美術館や博物館、名所・旧跡は休みでパリにいても仕方ないので、南仏マルセイユまでTGVに揺られることにしました。

 パリ~マルセイユ間は約 860km、新幹線では東京~広島に相当する距離で、のぞみ号は4時間で走りますが、TGVでは4時間40分かかります。「あれ、TGVの方が速いんじゃないの?」と言われるかも知れませんが、TGVはパリから途中リヨンまで約450kmは高速専用線を走りますが、リヨンより先は在来線を走るためスピードがかなり落ちます。それでも在来線のリヨン~マルセイユ間約 350kmを2時間30分で走るので表定速度は 140km/hということになります。

 TGVは全席指定なので、ユーレイル・パスバカンス・パスのようなフリー型の切符でも指定券が必要です。私は前日にパリ・リヨン駅のチケットセンターで購入しましたが、当日券やスイスへ行く国際線のチケットは別の窓口へ行かなければならず、複数のチケットを求める場合には不便な面もあります。チケットセンターは最近日本の銀行などでも採用している「整理券方式」で、入り口の案内嬢(オヤジの時もある)に乗車日と行き先を次げ番号札をもらい、センター内の掲示板に自分の番号が表示されたら窓口に赴きます。指定券は18FF(約360円)でした。

 私の乗った「TGV813」列車は10時42分にパリ・リヨン(Paris Lyon)駅を発車すると14時29分のアビニョン(Avignon)駅まで停車しませんので、乗車の前に駅でサンドイッチを買い込みました。TGVの座席はご存知のように「集団見合い式」(京浜急行の2000系と同じ)で私の席が後ろ向きだったので、検札に来た車掌氏に了解を得て前向きの席に移動しました。ちなみに乗車率は40%前後でした。

 パリを出ると専用線に入りひたすら走り続けます。5月に乗った時は牧場の牛が寝そべっているのどかな風景でしたが、さすがに12月の終わりともなると寒々としていて、途中標高の高いところでは吹雪となっていました。パリは北49度に位置し極東アジアで言えばサハリン(樺太)の真ん中と同じ緯度で寒いのも当たり前ですが、大西洋側の暖流のおかげでそれほど冷え込まないそうです。「パリは東京と同じくらいの気候」とよく言われますが、平均気温などを比べると一年を通して東京より若干気温が低いようです。しかし、雪はほとんど降らず、滞在中も雨は降りましたが雪は降りませんでした。ただし、異常気象のためか昨夏より大雨が続き、パリ市内を流れるセーヌ川が増水し観光船「バトー・ムーシュ」が運休だったり、河畔を走る高速道路が通行止めになっていました。

 高速専用線はリヨンの手前で終わり、TGVは在来線に入ります。リヨンはフランス第2の都市で日本で言えば大阪みたいなものですが、遠方へのTGVは通過します。リヨンを過ぎ少し行くと車窓にはローヌ川が現れます。TGVアトランティック線は在来線に降りても線路状態がよいためか最高速度200kmで走りますが、ここは川の流れに沿っているため100~120km/hが限度のようです。時間も午後1時を過ぎお腹も空いたので、駅で買ったサンドイッチと前夜ホテルの近くのスーパーで買ったチーズとワインで昼食を取りました。日本に輸入されるワインには「酸化防止剤」がたっぷり含まれていて、これが味を落とす、という意見がありますが、こちらのものは純粋なワインで味も良く、日本の半分以下の値段で買うことが出来ます。

 列車は途中アビニョンに止まり、車窓右手に地中海が見えるとマルセイユも近く、定刻15時37分にマルセイユ・サン・ジャック駅に到着しました。マルセイユ駅は行き止まり式で私の乗ってきたTGVは前ユニットを残し、後ろユニットは反転し次の駅に向かいました。

マルセイユもクリスマス休暇中
   マルセイユ駅に降り立つと、道路はまだ濡れている状態でしたが、雨が上がった様なので駅前のホテルに荷物を置き街に出ました。駅前から凱旋門を経て観光客の集まるベルジュ埠頭を見物し、駅に戻るルートを歩きました。もっと賑やかなマルセイユを想像していましたがさすがにクリスマス休暇のため店やレストランお休みで寂しい町並みが印象に残ってしまいました。結局レストランは見つからず、駅前の小レストラン(日本で言えば「駅前食堂」)で夕食を摂りました。

エクスへ行く
TGVで南仏プロバンス   朝起きると昨日の雨が嘘のような青空、今日はローカル線でマルセイユから40分ほどのところにありセザンヌの愛したエクス・アン・プロバンス(Aix-en-Provence)に向かいます。
このローカル線は、クリームとオレンジの気動車が2両で、マルセイユを出ると列車は緩やかな勾配を登りはじめ、しばらくすると短い間でしたが車窓左手に地中海を見ることが出来ました。
 エクスはプロヴァンス伯爵領の首都として栄え、15世紀には大学ができ、また高等法院がおかれこの地方の政治・法・学問の中心地でした。また、画家のポール・セザンヌはここエクスで生まれ息をひきとっています。

 エクスではメイン通りミラボー通り(Cours Mirabeau)から一歩裏通りに入った、2ツ星のプチホテルに宿泊しましたが、さすがに地方都市に来ると物価が安い様で、B(タブ付)T付の広い部屋が180FFRでした。
 エクス・アン・プロバンスに一泊滞在し、翌日ローマ時代の遺跡の残るアルル(Arles)に向かいました。

アルルで発見
   アルルも本線上にある駅ですがTGVは止まらない小さな駅です。町自体も小さな町ですが、ローマ時代には首府が置かれていました、今でも町の中心部に円形競技場や劇場などの遺跡があり、またこの地方のものを集めた「アルラタン博物館」にも興味を引き寄ってみました。

 夕食後町をブラブラしているとショー・ウインドウに数両のHO車両が飾られているおもちゃや(鉄道模型店ではありません)がありました。近寄ってみるとパリの2階建電車に値引きを示す「PROMOTION」の表示があり2両で350FF(約7、000円)の値札が付いていました。メーカーは「Jouef」、標準的な値段はわかりませんでしたが飾られている箱のラベルを見ると 398FF(約 8、000円)と言う文字が見え、2両で350FFは安い「これは買いだ!」と思いすぐ店内に入りました。在庫品が売れるためか店のお奥さんはニコニコして何か言い始めました。私が「わからない」という表情をすると店の置くの方から中間車を持ってきて3両並べてまた何か言っています。どうやら中間車だけ残っても困るので「これも買ってくれ」と言っているようで、値段を聞くと箱のラベルの78FF(約1,560円)を指しました。

TGVで南仏プロバンス  私は持っていた紙に「3Voiture→400FF」(3両で400FF!!)と書き示すと、奥の主人とやりとりをしOKとなり、3両のSNCFが7,000円で手に入りました。模型はパリのRER(首都圏急行網)C線で活躍するZ5600型電車です。
 実物は1・2等合造車を1両挟んだ4両編成が基本で、朝夕には2ユニットで走っています。3両編成では物足りないので中間車を入れて4~5両編成にしたいものです。

アルルからパリへ
  翌28日、アルルの町を見物後、駅に行きTGVの指定券を取ろうとしたところ、窓口嬢に「パリ行きTGVは満席、リヨンからなら立席券を発行できる」と言われ、次に来る急行でリヨンまで行き、リヨンからTGVに乗る方法を図示されました。私の予定ではニームからのTGVをオランジュで捕まえるつもりでしたが、希望の列車前後はリヨン乗り換え以外全て満席ということで仕方なく発券してもらいました。発券後時刻表をめくってみると、そのTGVはニース発でアルルやアビニョンも通るのですが、途中駅には停車しないダイヤになっていてリヨンまで行かなければ乗れません。立ち席券は車号だけ指定され、座席番号が空欄になっていて「空いている席があれば勝手に座れ」ということで、席がないときはデッキの補助椅子に座ることになります。このチケットの座席が指定されたとき同様、18FFの指定料金は取られますので・・・。

 とにかくリヨンへ行くためホームへ出て12時06分発の急行「6676列車」待ちます。ヨーロッパには昼行のEC(ユーロシティー=国際特急)やIC(インターシティー=国内急行)が多く残っていて、この列車も8時17分にニースを出て、20時44分にストラスブールに着くまで走り続けろまことに誠にお見事 天晴れ な昼行列車です。列車は若干遅れて到着しましたが車内を見てビックリ、車内は混んでいて特に目の前に止まった車両はデッキまで人があふれ乗れない状態です。通りすぎて行った前の車両が空いていたようなのでホームを走りお客の少ない1等車に乗り、さらに前の方へと通路を歩き、一号車まで行きようやく空席を見つけました。どうやら、この日から年末の休暇に入ったようで、みな大きな荷物をかかえています。あちらの人々は日本人の盆暮れの大移動の時より多くの荷物を持っていて、網棚に乗らないボストン・バックを通路に置いていたり、ペットのワン公を通路に寝かせていたりで歩くのも大変です。ワン公もしつけが良く、やたらに吠えることもなく、またその辺にウ○コもしないで非常にお行儀がよろしいです。

 6676列車のリヨン到着が14時37分、乗り継ぎのTGVは15時20分に着きましたが、やっぱり満席で通路に立っている人も見かけます。またまた通路の荷物をかき分けとなりの車両に行きデッキの補助椅子を確保しました。デッキは室内のように暖房が効いて無く、ドアの隙間から入って来る寒風を終点パリまで2時間耐えるしかありませんでした。

乗車日乗車区間列車種別
12月25日パ リ(10:42発)~マルセイユ(15:37着)TGV 813
12月26日マルセイユ(9:25発)~エクス・アン・プロバンス(9:56着)普通
12月27日エクス・アン・プロバンス(10:43発)~マルセイユ(11:20着普通
12月27日マルセイユ(12:00発)~アルル(12:50着)5010
12月28日アルル(12:50発)~リヨン・パール・デュー(15:21着)5010
リヨン・パール・デュー(15:30発)~パリ(17:34着)TGV 844

旅行期間 1993年12月21日~1994年1月1日

本HP上のデータは、1993年のものです。

Back gif


Copyright 1998 H.OSAWA