ヨーロッパ鉄道旅行 2 |
国際列車に乗る |
ユーレイルパスって |
ヨーロッパ鉄道旅行の助っ人ユーレイルパスを使いパリを起点にルクセンブルグとベルギーの2ヶ国を回りました。ルートはパリ~国際特急~ルクセンブルグ~急行~ブリュッセル~急行~ブルージュ~急行~アントワープ~快速~ブリュッセル~国際特急~パリです。 パリには長距離列車の発着する駅が方面別に6駅ありますが、山手線のような各駅を結ぶ環状線はなく、駅同士はメトロかRERを乗り継ぐことになります。これらの駅を結ぶ路線も計画されているようですが。 |
駅 名 | 行 先 |
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パリ・リヨン駅 | TGV-SEや南東方面の列車が発着 |
モンパルナス駅 | TGV-Aとフランス西南部方面行きが発着 |
パリ北駅 | ユーロスターやタリスTGV、ベルギー・オランダ方面の国際列車が発着 |
パリ東駅 | ルクセンブルグや南部ドイツ方面の列車が発車 |
オーストリッツ駅 | スペイン、ポルトガル方面が発着 |
サン・ラザール駅 | フランス西部方面の列車が発車 |
さて、ヨーロッパの鉄道旅行というとお馴染みなのがユーレイルパスですが、これはヨーロッパ内に入ると買いにくいので、出発前に国内のエージェントで購入しておきました。ユーレイルパスは26歳以下の方ならユースパスという2等車専用の安いものが利用できるのですが、残念ながら年齢オーバーですので1等車用のもの(もちろん2等車も乗っても可)を購入しました。ユーレイルパスにはいくついか種類がありますが、今回は期間が短かったのでフレックス5(38、800円)を使いました。これは2ヶ月間の好きな5日だけ利用できるもので、観光などで列車を利用しない日が多い場合には有利です。 券面の日付記入欄に自分で使用日を記入し使うので、途中で予定を変更しても無駄になりません。ノーマルな連続15日間用とか1ヶ月のものより割高になりますが、旅行の形態によっては便利なパスです。 |
パリからルクセンブルグへ |
ユーレイルパスを使っての小旅行初日は、パリ東駅から国際特急に乗り、ルクセンブルグを観光し、ベルギーの首都ブリュッセルまでの行程です。 ルクセンブルグ行き「EC59」列車は、トーマス・クックの時刻表からドイツ・ドレスデン行き列車を併結していることが分かっていましたが、ホームの案内板はドレスデン行きばかり強調し、ルクセンブルグの文字は端に小さく書いてあるだけでおまけのようです。ドレスデン行きのホームで車掌に「ルクセンブルグに行きたい」と尋ねると「前の方だ」と言われホームの先端まで延々歩く羽目になりました。ドレスデン行きはDB(ドイツ国鉄)の車両だったのでゆっくり車体や床下機器などを観察したかったのですが、発車時間が迫っていたので前の方へ急ぎました。 ドレスデン行きはかなり混んでいて2等車は満員なのか空席を探す人の姿が見え、1等車の方も4割くらいの乗車率です。ところがルクセンブルグ行きはガラガラで、1等車の乗客は私を含めて3人!! 編成も1等車2両と2等車3両の計5両で、全てSNCF(フランス国鉄)の車両でしたが、残念ながらコンパートメントの車両は連結されていませんでした。このルクセンブルグ行きは春の時刻表では平日のみの運転でしたが、夏ダイヤでは土曜日も運転されるようになっているいわゆる「季節列車」です。そんなわけでホームの表示も小さく、車内も空いていたのかもしてません。
東駅を出るとしばらくは複々線(線路が4線分あります)で、両側に短い編成の近郊線が走る中央部分を特急は走ります。近郊線は電気機関車が3~6両のステンレス製客車を牽引するスタイルで、逆行の時は推進運転となり終着駅での機回しはしません。ほかにステンレスの電車もありましたが、2~3両の付随車をボディーが一回り大きい電動車が引いているので「電機客車」という感じです。また、この近郊線にはRER(高速地下鉄)の2階建電車が乗り入れています。 |
ルクセンブルグからブリュッセルへ |
ベルギー・オランダ・ルクセンブルグの3国はベネルクス3国と言われ、あらゆる分野で協力関係にあり、昨今のEC統合のはるか以前から3国間は一つの国のように扱われていました。それぞれの国境には検問所もなく、列車内でのパスポート・チェックや税関検査もありません。ルクセンブルグからベルギーの首都ブリュセルを走る列車は国境を越えるにも関わらず国際列車ECの表示はなくIC(インターシティ=国内急行)となっていて国内扱いで、列車も1時間ヘッドで走っています。 ICの車両は2両編成の電車で、列車により2本連結して4両編成になっています。2両のうちブリュッセル側の車両には中央に出入口があり運転室側の半室が1等車、半室が2等禁煙車となっています。さらに、1等車は禁煙・喫煙が半分に仕切られています。この車両の1等車はボックス・シートで禁煙・喫煙にそれぞれ4組あります。また、1等室と運転台の間に車掌室と小さな荷物室があり、途中駅では自転車を積み込んでいる兄ちゃんがいました。ルクセンブルグ~ブリュッセル間は牧草地帯を走る複線ですが、途中小さな峠がありそこだけ単線でした。単線を抜けた駅には対向列車が停車しているとこなど、やっぱりどこでも同じです。車内は空調完備ですが少し暑かったので窓をちょっと開けたところ牧草地特有のなんとも言えない臭いが入ってきてしまいました。(いや~くせッ!!) |
ブリュッセルには 北駅 ・ 中央駅 ・ 南駅と大きな駅が3つあり、ルクセンブルグからの列車は街の東側を大きく回り北駅から順に止まります。私は観光ポイントマルクト広場に近い中央駅で降りましたが、この駅は地下構造でうす暗く、昔の京成上野駅を思い出しました!! =写真= ブリュッセルのトラム |
ブリュッセルの食通街。 中心部にあり、グラン・プラス(GRAND PLACE) や 小便小僧にも近い。 | |
[レストランのメニュー] ・魚のスープ ・海産物の盛り合わせ ・・・など |
ブリュッセルからブルージュへ |
小旅行2日目は、ブリュッセルからブルージュへ行き、中心部のホテルに宿泊します。 ブルージュはベルギーの古い町並みが残る観光都市で、ブリュッセルからICで40分位です。沿線はのどかな田園地帯が続き、一見ローカル線のようですが、終点オオステンドがドーバー海峡を越え英国へ渡るフェリーの港になっているため路線としては重要な線です。そのため、列車本数も多くICが1時間ごとにあり、2時間に1本程度ドイツのケルンまで直通する列車も設定されています。また、途中ゲントで分かれアントワープを経てオランダのアムステルダムへ向かう線もあり、こちらも1時間に1本直通があります。 車両は3両固定編成で1両目が2等喫煙車、2両目が2等禁煙車、3両目が1等禁煙・喫煙合造車となっていて、固定2本を合わせた6両で運用されていました。車内の座席には車内販売のメニューが置かれていて、コーヒー( 220円)、紅茶( 220円)、缶コーラ・ジュース( 180円)、三角サンド( 500円)、ワイン(ボルドー 赤 25cl 500円)やクッキー( 150円~)がフランス語とドイツ語で品名と値段が書かれていました。
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ブリュッセルからパリへ |
小旅行3日目は、ブルージュからブリュッセルに戻り、再度国際特急に乗車しパリへ。 ブリュッセルはパリとオランダのアムステルダムの中間に位置しています。パリからアムステルダムへは列車で6時間かかるため、航空機の利用が多いようですが、パリ~ブリュッセル間は2時間30分程度なのでまだまだ列車の利用率が高いようです。 |
私はブリュッセル中央駅からドイツ・ケルン発の列車の最後尾に乗りましたが、車両のサボを見ると Paris~Bruselle Nord となっていて、乗客の多いブリュッセル~パリ間の増結車両のようでした。最後尾の1等車はコンパートメント車で、始めてこのタイプの車両に乗ることが出来ました。1等のコンパートメントはさすがに広く、特にシートピッチが広いため足を前の座席に乗せようとしても届かない!! コンパートメントの座席はJR583系電車の下段のように引き出せるので途中まで引き出し足を乗せていました。国境の駅でポリスがパスポート・チェックに回ってきましたが、ここではスタンプどころか、パスポートの赤い表紙を見たとたん「ジャポネ」といいさっさと行ってしまいました。 |
パリ北駅到着前に、開業を目前にしたTGVの新しい線EUROPIAN NORD(TGV-N)の車庫があり、新車が多数待機していました。予定ではこの新線にも乗るつもりでいましたが、開通が遅れ5月23日になったため。残念ながら乗れませんでした。 |
乗車日 | 乗車区間 | 列車種別 |
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4月24日 | パ リ(6:56発)~ルクセンブルグ(10:35着) | EC1830 |
ルクセンブルグ(13:31発)~ブリュッセル中央(16:20着) | 989 | |
4月25日 | ブリュッセル北(8:48発)~ブルージュ(9:52着 | 531 |
4月26日 | ブルージュ(9:25発)~ゲント(9:46着) | 659 |
ゲント(12:15発)~ブリュッセル北(12:57着) | 5010 | |
ブリュッセル北(15:51発)~パリ(19:02着) | TGV 844 |
旅行期間 1993年4月23日~5月4日 |
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本HP上のデータは、1993年のものです。
大沢 肇 / 東京都台東区