ヨーロッパ鉄道旅行 1 パリの街を走るメトロ

パリの街を走る

メトロ

パリの街を走るメトロ

世界遺産 ヴェルサイユの宮殿と庭園

パリの街を観光するとき無くてはならないのが「メトロ」地下鉄です。

パリのメトロって
 パリ市内は山手線の内側くらいの広さで、この中を13路線の「メトロ」と4路線の「RER(高速地下鉄)」が網の目のように走っています。メトロは全線RATP(パリ市交通公団)により運営されていて、文字どおり地下を走っていますが、場所によっては地上を走ったり、高架線を走ったり、セーヌ川を鉄橋で渡ったりと乗っていて楽しい地下鉄です。メトロの平均駅間距離は400mで市の中心部では200m歩くと駅があると言われるほどたくさんの駅があり、市内の観光ポイントはほとんどカバーできます。

 RERは市外では地上を走り市内中心部に入ると地下を走りますが、メトロのように駅が多くなく(平均駅間距離約2km)、観光ポイントやメトロとの乗り換え地点だけに駅があります。RERはA線からD線まで4路線あり、A線とB線の北駅以南はメトロと同じRATPが運営しており、北駅以北およびC線、D線はSNCF(フランス国鉄)が運営しています。パリ郊外の観光地ベルサイユ宮殿へはA線、パリの玄関ドゴール空港へはB線(ロワッシー・ライン)、オルリー空港にはB線(オルリー・VAL)やC線(オルリー・ライン)が利用可能です。

 下表はRATPが発売しているメトロのチケット類です。メトロとRERの市内部分は5.60FF(約120円)の均一料金で、普通乗車券(仏語でbillet=ビレ)を買えば外へ出ない限り何度でも乗り換えられます。ほかに10枚で35%引き(凄い!!)の回数券(carnet=カルネ)があり普通乗車券と同じように使えます。また、市内観光には一週間券(coupon jaune=クーポン・ジョーヌ)が便利です。月曜日から日曜日までの一週間有効ですが3日間ぐらいでもとが取れるのでおすすめです。私は4日間パリに滞在しましたが、この切符のおかげであちこち回り結構楽しめました。

 いずれも、メトロの有人窓口で購入出来ますが、クーポン・ジョーヌ、カルト・オランジュは証明写真サイズの写真が必要となりますので、使用予定がある場合は日本から用意されて行かれることをお勧めします。

種類料金適用種類料金適用
ビレ5.6F普通乗車券カルネ36.5F10枚綴回数券
フォーミュル・アン23F一日券クーポン・ジョーヌ57F一週間券
カルト・オランジュ190F1カ月定期券パリ・ビジット3日80F各種割引付
RATP発売 キップ類

キセルは厳禁
パリのメトロ   メトロの特徴は職員がたいへん少ないことで、通常お目にかかれるのは出札掛だけです。列車には車掌が乗っていませんのでドア・スイッチは運転士が操作します。乗降客の多い駅では運転士がホームに降りて後方確認のうえドアを閉めますが、ほとんどの駅ではホーム端の監視TVで確認する程度です。これも日本の地下鉄ようなすし詰め状態がないから出来るのでしょう。
 ドアは半自動的なもので運転士の操作でロックがはずれるだけで、後は乗降客がボタンを押すかドア・ハンドルを回すかによって開きます。つまり、乗降の無いドアは開かないわけです。
  改札口は無人で入場のみターン・スタイルの自動改札機があり、有効な切符を入れるとターンのロックがはずれ押しながら入れる仕組みです、しかし、この装置は高さが1m20cm位しかなく、飛び越えて入る連中がいるためか、ターンと一緒に天井まであるドアを設置して「ただ乗り」防止をしているところもあります。出口に改札口はなくドアがあるだけの駅が多くここから逆に入り込むことも可能で、この対策のためドア内側に重量センサーを設置して、重さを感知したときだけドアが開く出口もありました。

 ただし、キセル防止の抜き打ちチェックを通路などでやっていますので、タダ乗りはやめましょう。高額の罰金が待っています。というわけで出口に改札はありませんがこの手の検札があるので外へ出るまで切符を持っている必要があります。なお、RERは全ての駅に自動改札機があります。

迷路
  メトロの路線図を見ると乗換駅がたくさんあり一見便利そうに見えますが・・・。メトロの乗換表示は路線番号とその線の終点の駅名が書いてあるだけで途中駅などの表示はありません。ですから、乗り換える場合はあらかじめ乗換駅と乗り換える路線番号または終点を確認しておく必要があります。ホームには目の高さに大きな路線図があり、地元の人も自分の行き先を指で追って路線を確認していました。
 メトロの乗り換え通路は長いところが多く、数路線が交差している駅では4~500メートル歩かされることもあり、うかつに乗り換えるとひどい目に合います。特に7路線集中のシャトレ(Chatelet)駅は隣駅へ行くより長い連絡通路を歩く羽目になりますのでご注意を

眺めの良い高架線
パリのメトロ
手前の青い車両が 6号線
その向こうを斜めに渡河するのがRER C線
  メトロ6号線は凱旋門のあるシャルル・ドゴール・エトワール(Charles de Gaulle-Etoile)駅から街の南側を半円を描くようにナシオン(Nation)駅までその半分地上を走ります。途中2回かの有名なセーヌ川を渡りますが地下ではなくいずれも鉄橋です。特にエッフェル塔(La Tour Eiffel)を望む西側のビル・アケム橋(Pont de Bir Hakeim)は道路と共用の2階建てになっていて、メトロが上を車が下を走るようになっています。
よくある2階橋(たとえば瀬戸大橋など)とは構造が逆ですが、不思議とこの周辺の景観とマッチしていて、鉄道ファンとしては絶好の被写体といえるでしょう。

  メトロはこの鉄橋から5駅間高架線を走り地下にもぐり5駅間走ったあと、ふたたび地上に出て7駅間高架を走り、再度セーヌ川を渡って地下に潜り終点ナシオン(Nation)に向かいます。また、シャルル・ドゴール・エトワール駅から街の北側を回りナシオンにいたる2号線も途中で地上に出て高架線を走ります。 パリのメトロ

地下急行線 RER
  パリの地下を走るもう一つの鉄道にRERがあります。RER(Reseau Express Regional =直訳すると「地域急行網」)は、パリ郊外と市内を結ぶいわゆる近郊電車。郊外では地上を走っていますが、市内では地下にもぐり主要なメトロとの乗換地点だけに駅があり、メトロより短時間で市内を駆け抜けています。ヴェルサイユやサンジェルマン・アン・レーなどへも直通していて、市内観光に飽きたときなどチョット郊外へ足を延ばすのにも便利です。

空港から市内へ
  パリには国際線が発着するシャルル・ド・ゴール空港と国内線と一部の国際線の発着するオルリー空港がありいずれもRER線が連絡しています。

 ド・ゴール空港にはB線が直接乗り入れていて、第2ターミナル(Terumina2)には直下に駅があり大変便利な構造となっています。ANA(全日空)等が発着する第一ターミナルからは無料の連絡バスで直近のロワッシー(Roissy)駅まで行き、そこからB線に乗ることになります。いずれも中心部のシャトレ・レ・アール駅まで40分程度です。  オルリー空港からはB線のアントニー(Antony)駅までからは無人シャトル「オルリーヴァル(ORLYVAL)」が運転されていて、レ・アール駅まで約30分で行くことが出来ます。

世界遺産 ヴェルサイユの宮殿と庭園
C線でヴェルサイユ宮殿へ
   さて今日は、RERを使ってヴェルサイユ宮殿へ行くことにします。パリから鉄道でヴェルサイユへ行くには4つのルートがあります。

出発駅 乗 車 線 宮殿まで
モンパルナス駅バンリュー(Banlieu=近郊線)またはグラン・リーニュ(Grands Lignes=本線)に乗ってヴェルサイユ・シャンティエ(Versailles Chantier)駅約 1.5km
サン・ラザール駅バンリューヴェルサイユ・リヴ・ドロワット(Versaille-Rive Droite)駅約 1.2km
RER C線の各駅RER C線でヴェルサイユ・リヴ・ゴーシュ・シャトー
 (Versaille-Rive-Gauche Chateau)駅
 (路線番号 C5)
約 600m
RER C線の各駅RER C線でヴェルサイユ・シャンティエ(Versailles Chantier)駅 (路線番号 C7 もしくは C8)約 1.5km

  いずれの方法でも駅から宮殿まで少々歩くことになりますが、ホテルの近くをC線が通っていて、3番目のヴェルサイユ R.G シャトー駅から宮殿への距離も近いことから、この方法で行くことにしました。

 C線サン・ミッシェル・ノートル・ダム(St.Michel NOTRE-DAME)駅で時刻表を見るとシャトー駅行電車は15分ほど待つことになり、次の電車でとりあえず分岐駅(Viroflay R.G)まで行き、シャトー駅行電車を待つことにしました。C線はセーヌ河畔の地下を走り、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルス・トール・エッフェル(Champ de Mars Tour Eiffel)駅付近で外に出ます。その後はイッシー(Issy)駅付近でセーヌ河を離れ緑豊かな丘陵地帯に入ります。路線には丘を貫くトンネルもあり「あれ、この線でいいんだろうか?」と考えながら乗っていると、分岐駅(Viroflay R.G)に到着しました。

 このまま電車に乗って次のシャンティエ駅から歩いてもいいんですが(上記の4番目のルートになる)、降りて次の電車を待つことにしました。この日はパリでも寒かったのですが山間に少し入ったこの辺は大変寒く、また待合い室もないのでホーム上で15分余り待つことになりました。シャトー駅直通電車は、平日は15分おきの運転ですが土曜・休日は30分おきの運転になるので注意が必要です。

 さてヴェァルサイユ・シャトー駅に降りるとそこにはホテル、レストランとおみやげ物屋が2~3軒有るだけでイメージとはチョット違います。もう少し街らしいのではないのかと思いましたが、地図を良くみるとリヴ・ドロワット駅の方にヴェルサイユの街があります。こちらは帰りに寄ることにして、ヴェルサイユ宮殿へ向かいましょう。

バスやケーブルカー
  パリの市内交通としてはほかに路線バスがありますが、路線が多く複雑で観光目的の短期滞在者には使いづらく感じられます。しかし、ルーブルやシャンゼリゼなど観光ポイントやその近くを走る路線もありますので、宿泊ホテルの近くのバス停をチェックしておくと良いかも知れません。町並みを見ながら移動、というのも、街の様子を知ることの出来る手っ取り早い方法です。サン・ミッシェルからだと、21番がルーブル~オペラ座~オーベール(プランタンなど)~サン・ラザール駅、63番がオルセー博物館(の近く)~アルマ橋~トロカデロなどが便利でした。
 また、モンマルトル(Montmartre)には短いケーブルカー(funiculaire)があり、10FF(約22円)で丘の上のサクレクール寺院(Basilique de Sacre-coeur)まで観光客を運んでいます(歩いた方が速いかも!! )。いずれもRATPの経営ですので前記チケット類が有効です。
 なお、メトロの1等車は最近廃止しされましたが、RERの国鉄車両には健在です。また、RERにはオール2階建ての電車が頻繁に走っていて、地下線にもガンガンと入ってきます。
パリのメトロ

パリのメトロ
ケーブルカーの走行距離は50m程ですが・・・
話のネタのために乗ってみました

私のお薦め観光ポイント

観光ポイント最  寄  駅
ルーブル美術館M1・7 Palais Royal-Musee du Louvre
オランジュリー美術館M1・8・12 Concorde
クリュニー美術館M10 Cluny La Sorbonne M4・10 Odeon  M4 St Michel
RER B・C St Michel Notre-Dame
ドラクロワ美術館M4 St Germain des Pres
ギュスターブ・モローM12 Trinite
ポンピドー・センターM11 Rambuteau M1・4・7・11 Chatelet-Les-Halles
凱旋門M1・2・6 RER A Charles de Gaulle-Etoille
オペラ座M3・7・8 Opera
エッフェル塔M6 Bir-Hakeim  M6・9 Trocadero
ノートルダム寺院M4 Cite RER B・C St.Michel Notre-Dame
サクレクール寺院M2 Anvers  M12 Abbesses
パンテオンM10 Cardinal Lemoine RER B Luxembourg
サンジェルマン・デ・プレ教会M4 St Germain des Pres
ムフタール通りの市場M7 Monge
ビュッシー通りの市場M10 Mabillon M4・10 Odeon
クリニャンクールののみの市M46 Porte de Clignancourt

パリ市内の鉄道模型店

店名住 所最寄駅
CLAREL25, rue de la Roquette - 75011Metro Bastille (sortie Roquette)
TRANS-EUROP51, rue de Douai - 75009

旅 行 期 間
1993年04月23日 ~ 05月 04日
1993年12月21日 ~ 12月 31日
1994年04月23日 ~ 05月 04日
1995年11月17日 ~ 11月 29日

本HP上のデータは、1993年のものです。


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