BRUGGE

ブルージュを歩く

世界遺産 ブルージュの歴史地区

ブルージュへ
 ベルギーは西ヨーロッパの中央に位置する小さな国で、北にオランダ、東にドイツ、南にフランス、西に英国と、自称「ヨーロッパの交差点」も納得できます。首都のブリュッセルから西へ100km行ったところにあるのが「ブルージュ」。中世の街が残る街、として雑誌などにも紹介され、多くの日本人が訪れています(そうゆう私もその一人 )。ベルギーを訪れた機会に、ブリュッセルからブルージュまで足をのばすことにしました。
 ブルージュは英国~ベルギー~ドイツを結ぶ国際路線の幹線上にあり、列車本数が多く大変便利です。中には、フェリーをはさみ、ロンドンからドイツを結ぶEC(国際特急)もあります。
フランスの田舎街 ブルージュを歩く  ブリュッセルからオオステンド行きIC(国内急行)に乗ると、ブリュッセルの街を抜け、すぐに放牧地の中を走ります。新緑の美しいこの時期、車窓は一面みどりの絨毯を敷いたようで、その中に草をついばむ牛の姿があちこちに見ることが出来ます。ICはブリュッセル南駅ゲントと止まり、小1時間でブルージュに到着です。

美人バスの運転手
 ブルージュの駅は幹線の駅にしては小さな駅で、駅前も大きなロータリーにバス停がちょこんとあるだけで大変質素です。駅から街の中心のマルクト広場まで約2km、歩いても30分程度の距離ですが、ここはバスに乗ってみることにします。バス停には案内板など無く、ちょうど止まっていたバスの運転手さんに「マルクト?(旧市街中心のマルクト広場)」と尋ねると、「ヤー、フォーティー」と答が帰ってきて、ポケットから40BFを取り出し、運賃箱に入れました。
 バスはすぐに出発し、駅前ロータリーを半周した後、大通りに出ました。大通りを2~3分走り、ザンド広場 ('t Zand)から一方通行のズイダンド通り (Zuidandstr.)に入り、駅前からおおよそ10分でブルージュの英雄ヤン・ブレーデル (Jan Breydel)とピーテル・デ・コーニンク(Pieter de Coninck)の銅像のあるマルクト広場 (Markt)の州庁舎前に着きました。ちなみに、このバスの運転手さんは美形の女性運転手さんでしたのでもう少し乗っていても良かったのですが、予定の場所でおりました。
フランスの田舎街 ブルージュを歩く
鐘楼から見下ろしたマクルト広場
 毎度のことですが、街に着いていちばん最初にすることはホテルの確保で、この日の第1候補はマルクト広場に面した鐘楼脇の「t'koffieboontje」 。1階がカフェ&レストランで、裏に回ったところに小さなレセプションがあり、ハンドベルを鳴らすとチョビひげのオヤジさんが出てきました。こちらが1泊したいことを伝えるとノートをめくり「OK」と言い、鍵を片手に3階の部屋に案内してくれました。部屋はトイレ・シャワー付きで1,800BFr、窓を開けると小径を挟んで鐘楼が見える何ともロマンチックなお部屋。

散策開始
 ホテルで小休止後、さっそく街の散策に出かけ、まず、目の前の鐘楼 (Belfort)に登ってみることにしました。この鐘楼は13~15世紀に建てられたもので、高さは83m。正面から入り2階へ登ると売店を兼ねた出札口があり、ここで80BFを払い 366段の石のらせん階段で鐘楼の最上階へ登ります。 フランスの田舎街 ブルージュを歩く
鐘楼の展望台から見たフランドル地方
 階段は大変狭く、降りてくる人とはところどころにあるちょっと広いコーナーでの行き違いになるので、上の方から人の気配がしたら手近かのコーナーで待って降りて行くのを待ちます。7~8分かけ最上階まで登り外を見ると、真下にマルクト広場をはじめ、ブルージュの街、さらにはみどりの絨毯を敷いた様なフランドル平原が見渡せます。
フランスの田舎街 ブルージュを歩く  5月初旬のこの季節は混む、とは聞いていましたがこの時期で良かったかも知れません。目の前の教会の塔に工事用の網がかかっているのと所々に工事用のクレーンが見える他は高層ビルもなく遮るものは有りません。景色を楽しんでいるとそろそろ12時の時報です。47個の鐘が組み込まれたカリヨンは頭のすぐ上に付いていて、さぞ凄い音がするだろうと想像はしていましたが、いざ鳴り始めると話し声はもちろん、まわりの一切の音が遮断されて鐘の音が頭の中に響きわたっていました。

 鐘楼から降りると12時半を過ぎていたので、マルクト広場に面したレストランで昼食をしました。オーダーはビール(中ジョッキ)とオムレット、いわるゆオムレツです。ベルギーはビールの名産国で、 300種を越えるビールがありビール党には天国。オムレットも添えられているポテトフライも美味しいのですが、5月のこの時期に真っ昼間の露天で飲むビールはもう最高!! ワインの原料のブドウはフランス北部シャンパーニュ地方が北限で、ベルギーでは生育しないので、寒冷地でも生育可能な麦を原料としたビールが作られるようになったのです。これは同じような緯度に位置する英国もドイツも同じ環境です。

満腹の後は
 午後はまず、市庁舎などのあるブルグ広場(Burg)を訪ねました。マルクト広場からブルグ広場に続く小道には数軒の土産屋だけで、すぐにブルグ広場に着きます。広場は聖血拝礼堂 (H.Bloedbasiliek)、市庁舎(Stadhuis)、古文書館 (Civiele Griffie)、裁判所(Gerechtshof)、インフォメーションに囲まれた小さな広場で、観光用の馬車がスタンバっていました。まず、インフォメーションに入りここでブルージュの地図を買いましたが(20BF)、何とこの地図は東京のベルギー観光局でタダでもらったものと同じでした。家に置いてこなければ良かった!! 市庁舎は1376年から1420年に建てられた、ベルギー最古の市庁舎で、全体がフランボワイヤン・ゴシック様式の装飾で覆われています。何か難しい様式の様ですが、ブリュッセルのグラン・プラスにある市庁舎と同じ様式で、建物のレリーフや像は聖書の中の物語を表しています。他の市役所に比べると小さな建物ですが、どっしりと落ちついた感じがします。
 市庁舎を出て、古文書館との間を抜け、運河に架かる橋を渡り右に折れると運河クルーズの発着所があり、この辺から運河と市庁舎越しに鐘楼を写した写真が良く雑誌などに載っており、この場所がブルージュの落ちついた雰囲気を味わうにはもってこいの場所だと思います。さらに、運河に沿ったDijver通り(すいません、読めません)の道端ではオープンマーケット(まあ、ガラクタ市でしょうか)が出ていて、コップや皿からアンティークな花瓶や時計などが売られていました。 フランスの田舎街 ブルージュを歩く
 左に折れる運河を越えると、教会や美術館が集まる地区になり、聖母教会(O.L.Vrouwekerk)の塔が目に入ります。この教会は13~4世紀の建立で、独特な形をした 120mあまりの塔を持っていますが、残念ながら修復中で足場が掛けられ塔を見ることが出来ませんでした。また、内部にはミケランジェロの「聖母子像」があるはずでしたが、これもどかされてありませんでした。鐘楼からみた工事中の塔はこの教会のものでした。

 聖母教会を右に出たところに、12世紀頃のゴシック様式でブルージュいち古い救世主大聖堂 (St.Salvatorkathedraal)があります。教会内では中世に造られた聖歌隊席やタペストリーを見ることが出来ます。タペストリーなどサイズ的にはそれほで大きくはないものの、使われている色は豊富でした。また、大聖堂博物館(Museum van de Kathedraal=40BF)にはフランドル地方の家具や生活用品、美術品が収蔵されていて、この地方の文化・生活が見えてきたような気がしました。
 大聖堂の前の公園には移動式のフライドポテト屋が開店していて、50BFで袋に一杯のポテトが出てきました。注文の際、塩かマヨネーズか何もかけないか指定します。

フランスの田舎街 ブルージュを歩く  この後、街の反対側にある運河まで歩き、18~9世紀に造られた聖ヤンハウス風車とボンヌ・シエール風車を見て回りました。途中で飲物が欲しくなり、路地で遊んでいた中学生くらいの少女にスーパーを聞いたところ日曜日で休みのこと。そのかわり、すぐ近くの食料品店を教えてくれて無事ミナラル・ウオーターを買うことができました。少女はオランダ語(のはず)とフランス語をしゃべっていて、英語は判りませんでした。

今日のメイン料理は
 さて、夕食ですが手っとり早くホテル1階のレストランですることにしました。レストランに入りウエイター氏に案内され席に着くと、レセプションにいたチョビひげのおやじが厨房からこっちを向いてニヤとしました。後で判ったことですが、そのおやじがこのホテル&レストランのオーナーだそうです。

 ベルギーのレストランもフランス同様に前菜+メインでいくら、というMENU(ムニュ=定食)を掲示していて、この日のレストランにはメインにラパン (Lapin)うさぎ料理をセットしたものがありました。はたしてうさぎを食べるのか? 日本では全く食べないですよね。そう言えば、パリの肉屋の軒先に皮を剥がれたウサギが吊るされていたのを見た覚えがあり、まさか丸のままはあのままは出てこないだろうと思い、オーダーしてみました。ストラスブールの項でもそうだったのですが、メイン料理は良く覚えているのですが、前菜は全くと言っていいほど覚えていません。まあ、MENUですから何か食べたのだと思います。

 前菜の皿が下げられ、いよいよウサちゃんの登場です。結構グロなものを想像していたのですが、出てきたものは鶏のモモ肉をふたまわり位大きくしたものでした。味は淡泊で、軟らかい肉でした。梨のソースが濃かったため、ウサちゃんそのものの味は良く判りませんでしたが、鶏肉より上品な感じでソースも結構いけました。ウサギと言えば日本では学校の校庭で飼うような可愛い動物の代名詞。食べちゃっていいんでしょうか。まあ、これが「文化の違い」というものかも知れませんので、とやかく言うのは辞めにしておきましょう。ですから、クジラについてもあ~こ~言われたくないものです。デザート(これも、何を食べたか判らない)の後にコーヒーを頼むと皿の上にはクッキーが数種類のっていて、これならデザートはいらなかったようです。なお、このレストラン、宿泊者は10%引きになります。

フランスの田舎街 ブルージュを歩く 食後、すぐ近くの州庁舎がライトアップされていると言うことで見に行きましたが、緯度の高いこの地方は日暮れが遅く、8時過ぎでは周囲がまだ明るく、ホテルに戻りシャワーを浴び、9時半過ぎようやくライトアップが楽しめました。
=写真= 州庁舎

カリヨンでお目覚め
 翌朝8時になると鐘楼の鐘が景気良く鳴り出します。これと同時に朝食のサービスが始まり、昨夜夕食をとった1階のレストランに行くとパン、クロワッサン、チーズ、カフェオレ、オレンジ・ジュースなどが用意されていました。この手のホテルの朝食にしては、豊富な種類と量でした。松田聖子の歌に「ブルージュの鐘」という曲があり、「朝食には蜜のついたワッフル」というフレーズがありますが、朝食はカフェオレにクロワッサンの方がいいと思います。まあ、これも人好き好きですが・・・。

本HP上のデータは、1993年のものです。

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