PARIS

パリを歩く 1

カルチェ・ラタン(Quartier Latin)

世界遺産 パリのセーヌ河岸

   パリに宿泊するときはカルチェ・ラタン地区のホテルに泊まることにしています。なぜ、カルチェ・ラタンかと言うとズバリ便利であるからです。では、どこが便利なのでしょうか。

(1)RER B線が通っていて、ド・ゴール空港から乗り換え無しで来られる。
オルリー空港からもRER B線またはC線で乗り換え無しでOK。
(2)RERのほかにメトロも2路線走っていて、パリの観光地や国鉄主要駅へも少ない乗り換えで出られる。
(3)学生街であるため安いレストランが多い。ブシ市場付近はさらに安い
(4)ホテルがほかの地域に比べるとい安い。
(5)ルーブル美術館やオルセー美術館は徒歩圏内。ノートルダム寺院は10分くらい。

空港からRERで
  パリの空の玄関 シャルル・ド・ゴール空港(Aeroport Charles de Gaulle)からRER B線に乗ると、最初は郊外電車の雰囲気ですが段々と家が多くなり、北駅直前で地下に入ります。北駅はロンドンへのユーロスターやベルギー、オランダ、西部ドイツ方面への長距離列車が発着する駅で、B線も乗り降りが多い駅ですが、もっとも多いのは次のシャトレ・レ・アール(Chatelet Les Halles)です。ここはRER A線・B線・D線のほか4路線のメトロ(1・4・7・11号線)が交わっている駅だからです。多くの路線が交わってると言っても、シャトレ駅とレ・アール駅という元来別の駅を無理矢理地下道でつなげたので、乗り換えによっては相当時間がかかります。北駅からレ・アール駅までRERはノンストップですが、北駅とシャトレ・レ・アール間は、平行するメトロ4号線は5駅有ります。

 レ・アールの次は長い駅名のサン・ミッシェル・ノートル・ダム(St.Michel Notre-Dame)で、ノートル・ダム寺院前の出口のほか、カルチェ・ラタンとなるサン・ミッシェル方面への出口もありますが、ホテルへは次のリュクサンブール(Luxembourg)が便利なのでもう一駅乗ることにします。

街に出る
パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く  リュクサブール駅の後方エスカレーターを出るとそこはサン・ミッシェル大通り(Bd. St.Michel)に面したエドモン・ロンスタン広場で、左手にはリュクサンブール公園(Jardin du Luxambourg)が広がり、右手の通りを入った奥にはパンテオン(Pantheon)(ギリシャ語で万神殿)がそびえています。公園の北側にはリュクサンブール宮(Palais Luxembourg)があり、今は上院(Le Senat)として使われています。

=写真= リュクサンブール宮

  広場からセーヌ川方向に歩き出すと道が緩やかな下り坂になっているのに気が付きます。キオスク(売店)の立つ歩道を4~5分進むと右手の路地突き当たりに大きな建物が、これがかの有名なソルボンヌ大学(La Sorbonne)。ソルボンヌ大学と言っても正確にはパリ大学の一部で、ここにはパリ第3、第4大学があります。カルチェ・ラタンには第1大学から第7大学があり、学生街の様相を呈しています。私のホテルもこの路地を入ったところにありますので、取り敢えず、チェックインをして荷物を置くことにします。
=写真= リュクサンブール公園内のカフェ
パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く

 ホテルでひと休みしたら、街に出てみましょう。
ホテルの路地から大通りに出て右へ曲がり、大通りを下っていくとサン・ジェルマン大通りとの交差点直前の右手に廃虚らしき物が見えます。これはローマ時代の遺跡で、当時はリュティア共同浴場でした。この廃虚の中にクリュニー美術館(中世博物館)(Musee de Cluny)があり、中世の彫刻、装飾芸術が中心に飾られていて、中でもタピスリーの連作「一角獣を配した貴婦人像」(15世紀から16世紀初頭にかけて発展したミル・フルール様式の典型)は一見の価値があります。

 浴場跡も見学可能ですが、ここで気付いたことが一つ。冬のパリは東京より低い気温で、氷点下の気温になることもしばしばですが、こんな気候の中で風呂に入っていたのでしょうか。温泉が湧くとは聞いたことがありませんHi。浴室の横に、ボイラー室(と言っても、油を燃やしたわけでは・・・)跡の様なものがあるので、そこで湯を沸かしていたそうです。
この遺跡のある場所は、サン・ミッシェル通りとサン・ジェルマン大通りの交差する場所で、交通量も多く振動や大気汚染による崩壊が心配されています。

喧噪の中へ ~ 街の市場へ
 サン・ジェルマン大通りを渡った右側のサン・セヴェラン教会(St-Severin)のある区画はみやげ物屋やホテル、レストランが集まるカルチェ・ラタンでも最も賑やかなところです。レストランもフランス料理のほか中華、ギリシャ、中東から日本食まで揃っていますが、地元客より観光客相手の店が多く、値段が高めでサービスもイマイチの店もあるようです。しかし、店頭でさばいているシシカバブなど見ていると、お腹が空いていなくても食べたくなってしまいます。困ったものです!! ホテルも手頃な値段のものが数件有りますが、上階の部屋でないとうるさいこともあるので注意が必要です。パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く
クリスマスイルミネーションのカフェ
 リュクサンブールから下ってきた大通りもクリュニーの交差点付近で平になり、セーヌ川にぶつかったサン・ミッシェル広場がいちばん低くなります。RER サン・ミッシェル・ノートル・ダム駅の前寄り(リュクサンブール側)の階段を出ると広場脇に出られ、さらに地下道がクリュニーの交差点まで続いていますが、人通りが少なくちょっと暗いので注意した方が良いでしょう。

 サン・ミッシェル広場で今来た道を振り返ると、右斜め前にダヴィウ作の噴水を挟んであるのがドントン通り(Rue Donton)で、入ってすぐのサン・タンドレ・デ・ザール広場(Pl. St.Andre des Arts)でそのままドントン通りを進めばメトロ オデオン駅(Odeon)へ、右へサン・タンドレ・デ・ザール通りを行けばブシ市場(Busi)に出ます。デ・ザール広場はカフェもあり賑やかですが、夜は暗くてちょっと恐いけど、オデオン方面への近道なので人通りは多い様です。

パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く  ドントン通りを進むと5分ほどでサン・ジェルマン大通りに出て、すぐに映画館などがあるオデオン広場が見えます。広場付近は道も広くなりカフェも多く人通りも絶えません。広場かどのカフェのテラス席(舗道上に並んだテーブル席)で休んだことがありますが、前のサン・ジェルマン大通りを通る車の騒音や排ガスであまり落ち着けませんでした。

=写真= 広場かどのカフェ

  広場を右に折れランシエンヌ・コメディ通りに入ると両側にはレストランやCDショップなどの商店が続き、最初の角を左に曲がるとそこはブシ市場。食料品店や生花店をはじめレストラン、惣菜屋、肉屋、サンドイッチ屋が軒を並べた、カルチェ・ラタン地区の台所とでも言うところです。サンドイッチはパリでも結構食べましたが、ここのが値段も内容的にも安かったです。(でも、一番安かったのはクリニャンクール(Clignancourt)のオープン・マーケットの入り口の屋台のおばさんのでしたが
=写真= コメディ通りのレストラン
パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く

パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く
=写真=市場の肉屋のウインドウにて
  ここでの定番は、前菜にメイン、デザートが付いて44FFRのレストラン。前菜にサラダ・ヴェール(salade vert)を注文するとその名の通りヴェール(緑)の野菜が3~4点乗ってくるだけだけど、メインのブロシェット(Brochette/肉の串焼き)は肉も軟らかく味もグーで、付け合わせのサフランライスもおいしかったです。ここのレストランはギリシャ人がやっていて、ワインをオーダーするとギリシャのワインが出てくるし、デザートには甘い甘いバクラバも用意されていますので、パリに来てギリシャの味にしたることも出来ます。定食(Munu)にキール酒(Kir/食前酒 白ワインとカシスのリキュールのカクテル)、ワイン(1/4)、エスプレッソ(食後のコーヒー)を注文して 85Frでした。

デ・プレ教会周辺
 ブシ市場から路地を抜けサン・ジェルマン大通りに出て、オデオン広場と反対の方向へ進むと右手にパリで一番古いと言われているサン・ジェルマン・デ・プレ教会(St.Germain des Pres)の塔が見えてきます。教会の入り口はレンヌ通りとの交差点側で、サルトルやボーヴォワールなどが出入りしていたと言うカフェ・オー・ドュー・マゴ(Cafe aux Deux Magot)カフェ・ドュ・フロール(Cafe de Flore)が目の前にあります。デ・プレ教会の裏には19世紀ロマン派ドラクロワの住まいとアトリエを保存したドラクロワ記念館(Musee National Eugine-Delacroix)が静かなたたずまいの中にあります。館内が広くないにもかかわらず入館者が多くゆっくり見られないのが残念でした。

 デ・プレ教会からレンヌ通りを見るとパリには似合わない近代的なモンパルナスタワー(55階建)が目に入ります。このレンヌ通りには有名ブティックがかなり有りますが、今回はパスすることにして、レンヌ通りの入り口にあるモノプリ(Monoprix)を見てみます。

 モノプリの1階は婦人服店で一瞬入るのをためらってしまいますが、売り場の真ん中にあるエスカレーターに乗って地下へ降りると、酒類から食品・衣料品・日曜雑貨まで扱うスーパーになっていて、私はパリに着くととりあえずこの店に飛び込み、ワインとチーズ、ミネラル・ウオーター等を買い込んでいます。テーブルワインで15Frから飲料水は1Frからあります、駅の売店や街中のお店(ファーマシーなど)より安いので重宝しています。フランスの水道水は石灰質で飲みづらいので飲料水が安く売られているそうです。ただし、ミネラルウオーターは5Frとかしますので・・・。私は水道水を飲んでも調子を崩すことはありませんでした。安いレストランで「ミネラルウオーター」と注文しないと、水道水が出てくることがあります。
 スーパーはモノプリのほか、ブシ市場の中に小規模なシャンピオン(Champion)があります。

 買い物の後は、サン・ジェルマン大通りをオデオン広場まで戻り、広場の交差点を右に折れロデオン通り(Rue de l 'odeon)に入りオデオン座へ向かいます。広場からオデオン座までの道はお店も少なく、先ほど通ったサン・ジェルマン大通りの向こう側のランシエンヌ・コメディ通りよりも寂しい気がします。

 オデオン座は大きなロータリーのあるオデオン広場をかかえ、ホテルやレストランの入ったビルに囲まれています。最初の頃はこのオデオン広場に面したホテルに泊まっていて、角のレストランがいつもお客がいないので不思議に思っていましたが、オデオン座の公演が終わる深夜にお客が入っていることを知り納得しました。

 オデオン座の裏に回るとそこはリュクサンブール公園の森で、メディシ通り(Rue de Medicis)を左に折れ、緩い坂を登ると最初にRERを降りたエドモン・ロンスタン広場に戻りますが、夜は人通りが少ないのでやめた方が良いでしょう。

パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く

パリ散策 カルチェ・ラタンを歩く


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