鉄道模型工作シリーズ
白色LEDで 室内灯を点灯
HO編
■ はじめに ■
  とお決まりの色しかなかったLEDですが、数年前に白色LEDというものが発売されました。白色と言ってもその色は青白く、蛍光灯の昼光色のような色で、この白色LEDを鉄道模型の室内灯に用いたら、従来の白熱球より実車の室内灯に近いものが表現できるのではないかと考えました。しかし、当時白色LEDは1個3千円程し、室内灯として使うには大変高価なもので、その後、TMS(鉄道模型趣味)でNゲージの室内灯に白色LEDを用いる記事が掲載されましたが、そのころでも千円前後していました。しかし、99年の春頃には4百円前後まで安くなり大量購入もしやすくなったので、HOゲージ車両への加工を試みることにしました。

 LED(Light Emitting Diode)は、消費電力が小さい・発熱が少ない・単価が安いなどの利点から、電気製品のパイロットランプなどの表示素子として、豆球に変わって使われています。鉄道模型の室内灯に使われている豆球の消費電流は 60mA 程度ですので、1両に2個付け10両編成に取り付けるとそれだけで 1.2Aの電流が必要になり、小型のコントローラーでは走行させることが出来ません。LEDの消費電流は通常 15mA 前後と少なく豆球の4分に1に過ぎませんので、室内灯として大量に使用しても豆球に比べて少ない電力で使用することが可能です。
 下図はLEDの基本回路で、LEDと抵抗 もしくは 定電流ダイオードなどを組み合わせて使います。抵抗は秋葉原で1個1円で購入出来ますが(100本で100円)、今回は費用的には高くなりますが安定した定電流ダイオードを使うことにしました。

白色LEDで室内灯を点灯させる
LEDの基本回路

■ 材 料 ■
  加工は、手っ取り早く完成車を使うことにし、最近手にしたKATO 165系低屋根車 3両基本セット(品番:3-506)に手を加えることにしました。今までの経験から、室内灯を付けても室内装置が無いと見栄えも悪く効果も得られませんが、このセットなら室内の椅子もあり室内灯を取り付けたときの効果も得られそうです。KATOからは専用の室内灯オプション「HO室内灯セット」(品番:7-501)が発売されており、KATO製HO車両には簡単に室内灯を取り付けられるようになっています。これは車両の中心部の天井に光源の豆球を置き、前後に置いた導光板で室内に散光させる仕組みです。また、屋根と導光板の間にはアルミの反射板を挟み、散光量をアップさせています。今回は、導光板などはセットのものを使い、光源の豆球を白色LEDに置き換える工作をしました。

 室内灯にするLEDは秋葉原で売られている「超高輝度白色発光LED(5mmφ)」を用い、1両に2個取り付けました。白色LEDは秋葉原の各店にありますが、そのうち秋月電子や千石電商では日亜製の4000mCD(ミリカンデラ)と明るいものが売られています。これと定電流ダイオード(CRD E-153)を組み合わせると、電源電圧4~20VにおいてLEDの電流を15mA一定と鉄道模型の走行電圧をカバー出来ます。鉄道模型の電源は直流ですがディレクション・スイッチ(方向切換)を操作することにより極性が変わり、このままではLEDに入力できませんので、ブリッジ・ダイオード(BD)で極性を一定にします。LEDの消費電力が2個で30mAと極少なので小さいBDでかまいません。今回は100V 1Aのものを使い、念のため取付前に12Vの電流を30分ほど流しましたが、発熱もなく車体のプラスチックに影響がないことを確認しました。ご自身でこの手の改造をされる場合は、取り付けの前に発熱などが無いことを十分に確認されることが必要です。
 なお、市販されているLEDの中には、一見すると全体が透明で白色LEDのように見えますが、電流を流すと赤や緑色を発光するものもありますので、購入の際にはご注意下さい。

白色LEDで室内灯を点灯させる
回  路  図

■ 加 工 ■
  車体への取り付けの前に、LEDと導光板の加工を行います。LEDは瞬間ボンドで接着し乾燥させます。次に足を広げたBDにLEDを載せ、+(プラス)端子にLEDの+側を、-(マイナス)端子に低電流ダイオードを介して-側をハンダ付けしLEDユニットを作ります。導光板はLEDユニットの入る部分を半円形にくり抜きますが、割れないようにカッターナイフで少しずつ丁寧に削っていき、最後に細かいサンドペーパー( 600~800番)で平滑にします。削った面が白くなってしまうので、プラ用ボンドやクリアラッカーを薄く塗っておくと、乾燥後には削り面が透明になり導光が良くなります。  車体への取り付けは、まず、ボディと床板をはずし(ボディを広げますが、度を過ぎると割れます)床板の指定位置に室内灯セットの集電板を取り付け、LEDユニットをハンダ付けします。天井に反射用のアルミ箔と導光板を取り付けます。基本的な取り付けはこれで終わりですが、ボディーを開けたついでに、椅子の縁に銀色を、肘掛けにグレーを入れると車内が一層引き立ちます。

白色LEDで室内灯を点灯させる
床板に取り付けたLEDユニット

  ボディーを元に戻し実際に走らせてみると、予想どおり車両が起動する程度の低い電圧から明るく発光し、豆球のものよりも実感的な室内灯となりました。また、消費電流が少なく長編成に取り付けても小型のパックでも走行可能です。ただし、白熱灯であった旧型車には豆球の方が合います。
 今回の加工は、市販品をそのまま使うこととしたため、BDの取り付け位置に困り、結局LEDと抱き合わせLEDユニットとしました。そのため、車両の天井付近がかなり窮屈となってしまいました。次回は自作車両にも取り付けようと思っており、その際にはBDと低電流ダイオードは床下に置き、天井にはLEDだけとすっきりさせたいところです。

白色LEDで室内灯を点灯させる
上は白色LED取付車 下はHO室内灯セット取付車(ボケててごめんなさい!!


★★★ 注 意 ★★★
この加工にはハンダごてを使いますので、電気工作の経験のある方にお勧めです
★★★ 注 意 ★★★
定電流ダイオードは逆接続すると、整流ダイオードの順方向特性と類似した過大電流が流れ、素子が破壊されるおそれがありますので、逆接続しないよう注意してください

鉄道模型のエレクトロニクス化をお考えの方には次の書籍をどうぞ LEDについても書かれています
 ホビーテクニック49
 鉄道模型のエレクトロニクス工作 日本放送出版協会 編

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