鉄道模型工作シリーズ 1
京都・洛北を走る
叡山電鉄「きらら」の製作
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きららの製作
  叡山鉄道900形「きらら」は京都・洛北に登場した「日本風ガラス電車」です。車窓からの展望を考慮し窓を大きくした結果、窓柱の細い車両になっています。と言うことは、模型では大変作りにくい車両!! 今回もペーパー製車体とし、ボディー側板や屋根のほか、細かなパーツもペーパーで製作しました。今までの経験から「派手な車両は作りにくい」ことはわかっていたものの、いざ工作を始めると屋根の支持に大変苦労することになりました。

上回りの製作
 ボディー外板、前面および妻板は、0.3tのアサクサモケイ「模型工作用方眼紙」を使い、ケガキ・切り取りのあと、裏側に0.5tの同方眼紙を補強のため貼ります。屋根は0.3tと0.5tの方眼」を張り合わせ、設計図の屋根Rに合わせ曲げておきます。
 ボディーの組み立ては、まず連結面妻板と両側板をコの字形に組み、車体幅を確認したあと屋根をのせ接着剤で仮止めします。さらに、前面パーツを接着し、乾燥したところで車幅、屋根高などを確認し、さらに車体のねじれを修正した後で、各仮止め箇所に瞬間接着剤を流し固定します。
 次に下地処理に入ります。まず接合部分や大きなキズにパテを盛り、乾燥後ペーパーで盛り上がったパテを削り取ります。次にラッカーで薄めたパテを全体に塗り、乾燥後サンド・ペーパーで平滑にします。これを2~3回繰り返すと平滑な車体の出来上がりです。
 ボディーが納得のいく平滑さになったところで、スプレーのサフェーサー「Mr.WHITE SURFACER(グンゼ産業)」を吹き、続いて基本色となる白色のスプレーを全体に吹ます。乾燥後下地が透けて見えるようだったら再度白色を吹くという作業を繰り返しますが、一気に大量の塗料を吹き付けると、塗料が垂れたり、ボテッとした感じになってしまうので注意が必要です。最近は白系の塗色が多く乾燥後しばらく経つと下地が透けて見えてしまうことがあるので注意が必要です。白の乾燥後、ボディー下半身の赤と金帯を筆塗りします。実車の赤については色々な意見があり難しいところですが、当社では基本色の赤にピンクを混ぜ深みのある柔らかい色で表現しました。

下回りの製作
 動力装置は手持ちのパワー・トラック(エンドウ製)を、台車はホイール・ベースが若干異なりますが、形状の良く似ている日光モデル製のFS-518を利用しました。やはりホイール・ベースは違うものの、第3セクター向けの軽快気動車(新潟鉄工製)にも流用できそうです。
 床下機器は、折り込み図と写真を参考に、方眼紙と木片で作りました。抵抗器など実物と異なるものもありますが、全体的にはそれなりに見えるのではないかと思っています。カプラーは先頭部にエンドウ製ダミーカプラーを、連結部にはカツミ製ACEカプラーを取り付けました。
 スカートは0.5tの方眼紙を必要な大きさに切断し、これを2枚重ね接着し、瞬間接着剤で方眼紙を固化し、所定の位置に取り付け塗装をしました。方眼紙の場合、切り口からの瞬間接着剤のしみ込みがよく、乾燥後にはプラバンの様な扱いが出来ます。

 屋根回りですが、クーラーは実車とは若干異なりますが、以前に作りかけた京成「スカイライナー」の真鍮製製品を流用、パンタグラフについては適当な製品が見当たらなかったので、プラバン(1t)で自作しました。きららの図面にはパンタの正確な図面や写真が載っていなかったので、以前にいただいた「小田急EXE」のパンフレットを参考に、パンタ本体はプラバンを2mm幅に切断し、「く」の字形に瞬間接着剤で固定した後、細かいサンド・ペーパで整形し塗装しました。パンタ・シューは以前製作した中村精密製の「名鉄パノラマカー」の余剰部品を流用しました。中村精密の製品はパンタグラフまで自作するようにパーツが準備されていますが、市販のパンタを載せたためパーツが余っていました。また、非パンタ車に150MHz帯の列車無線アンテナを1台載せていますが、これは0.3tの方眼紙を2枚重ね形成後に瞬間接着剤で固め、乾燥後に塗装し所定の位置に取り付けました。

「きらら」は2+1の3列シートで、2列側はカツミのプラ製シート(ブルー)を取り付けましたが、1列のものが手元にありません。そこで、プラシートのサイズを参考に、1列シートも0.3tの方眼紙で製作し、青色に塗色し所定の場所に取り付けました。方向幕はワープロ(一太郎)で「出町柳」と打ち、文字を反転させ黒地に白文字の方向幕を表現しました。
 製作開始から完成まで約2ヶ月。模型を眺めれば不満ばかりの出来ですが、当社の山岳路線の主役となってくれることを祈っています。現在は、叡山電鉄シリーズというわけではありませんが、デオ710を製作中ですので、完成の折りにはご笑覧いただければと思います。

叡山電鉄900形「きらら」の製作
模 型 写 真

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