鉄道模型工作シリーズ スペシャル
京都・洛北を走る
叡山電鉄 800形
中村 愛知

■ 模型の製作
 模型化にあたっては、競作ということもあり、同じタイプを色違いで製作しても面白味に欠けるので、私は2次車を製作いたしました。カラーが3種類あり、その中から(当然815+816は避けるとして)という組み合わせの811+812番を選びました。

 製作方法にあっては、ペーパーボディに木製屋根、と特に目新しいところはありません。ボディにはアサクサモケイ発売の車体製作用方眼紙を用いました。今回は紙の厚さを外貼り・内貼り共にt0.5mmにしてみました。箱にした感じではかなり頑丈に出来上がっていますが、やはりt0.3に較べると窓の厚みが気になるところもあり、まして不精者ですからはめ込み窓などにするわけもなく、この工法は今回1回限りとなりそうです。内・外2枚貼り合わせた後、裏側に3×3の角材を2本補強として接着し、さらに別に製作した前面と妻板を瞬間接着剤でイモ付けします。この電車はただ顔がくの字に曲がっているだけなので、構造はいたって単純です。

■ 屋根の製作
 屋根板はストックしてある汎用のものです。カーブの削り出しがいい加減なところもあるので、少々修正が必要でした。出来上がった屋根板をボディに接着し、車体は出来上がりです。屋根板とボディとの継ぎ目には「ポリパテ」をすり込んで、乾燥後に#240~#400くらいのペーパーで削っておきます。その後、屋根には濃いめパテ(グンゼの溶きパテ)、車体にはサフェーサー(同じくグンゼ)を塗り、塗っては削りを繰り返して下地仕上げとします。車体に塗るサフェーサーは瓶をあけたそのまま原液よりも、薄め液を入れて薄めたもの(もしくはかき混ぜる前のうわずみ)のほうがボテッとしないで仕上がりが良いようです。

■ 塗 装
 簡単な構造なので、車体はあっという間に出来上がり、塗装に移ります。まず屋根にねずみ色1号(GMスプレー)を吹き、マスキング後、車体のクリームを吹きます。クリーム色系車両をつくる度に毎回色の選定には悩むのですが、今回は東急ハンズオリジナルの「アイボリー」というスプレーにしてみました。だいたい小田急アイボリーとクリーム1号の間ぐらいの感じです。続いて帯の塗装です。こちらはプラ用塗料の筆塗りとしました。青と緑の帯が離れていて(間にクリームの細帯がある)、かなり難儀しました。いちおう手順としては、マスキング→緑塗り→緑帯より1mm弱離してマスキング→青塗り となります。前頭部分は帯が折れ曲がってますが、この部分のマスキングはテープではしんどいので、パソコンのドローソフトにて帯の形に作図したものを「粘着ラベル用紙」に印刷し、それをそのままマスキングシートとして使用しました。

京都・洛北を走る 叡山電鉄800形 中村愛知
模 型 写 真

■ 下回り
 車体の塗装が終わったところで下回りの工作に移ります。床板はt1.0のプラ板に2ミリのプラ角棒を補強として入れ、さらにプラ板でふたをした当社の標準的な構造です。床下機器は抵抗器はKS製パーツ、それ以外は近所の模型屋さんのバラパーツケースから適当に拾い出したホワイトメタル製のパーツを瞬間やエポキシで接着しました。台車は「日光モデル」の南海こうや号用FS-518、動力はエンドウのトラクションモーター26です。下回りはプラ用塗料の「エアクラフトグレー」を筆塗りしました。この塗料は光沢色なので、フラットベースを混ぜて半光沢程度にしてあります。つや消しの灰色系のバリエーションが増えることを期待したいところです。

■ その他
 最後に各部分の艤装になります。屋根上はパンタがカツミのPT48、クーラーは某所より提供の京成用、避雷器とフューズ箱はエコーのパーツを使いました。
 インバータ装置はt0.3のペーパー製です。屋根上パーツには床下に使ったグレーを塗りました。窓ガラスにはサッシに見立てた黒色のI・Cテープを貼ったt0.5の塩ビ板で、前面と車端にはパソコンで作った方向幕をシール紙に印刷して貼り付けます。また前面の「EIDEN 」ロゴと側面の社紋は図面集や叡電のホームページから取り込んだ画像をパソコンにて加工して使いました。このような小物を貼り付けると、ちょっと塗装が失敗気味でもなんとか見れる?ようになるものですから不思議です(笑) 車内にはカツミの赤いロングシートを取りつけました。こんなところでしょうか・・・

 おっと、「ライトのつかない模型なんて・・・」との某氏の名文句があるように、この模型にも一応ヘッド・テールライトを発光ダイオードにて組み込みました。やはり運転するときはライトがつくといいですね!!

 最初の発表の際は走りがかなり不調だったのですが、その後調べた結果、中間連結のドローバーの上下動が少なく、線路の段差で動力台車が浮いてしまうことがわかり、2月に行われた運転会では大沢氏の1次車の足を引っ張ることなく快調に走行するようになりホッとしているとこです。なんと白黒ながら某誌に写真まで・・・
 今後の課題としては、先日取材した屋上配管などの追加工作がありますが、はたしていつのことやら。

たいへん良く出来ました
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