小田急電鉄50000系「VSE」製作記
2005.08.01 小田急線 開成~栢山で撮影

 2005年3月営業開始のVSEVault Super Express)は、小田急ロマンスカーの本来の姿である箱根への観光客輸送を想定し、前面展望車を復活させたのを始め、大型連続窓による車窓展望や車内売店などを装備し、ロマンスカーらしい特急形車両で登場した。vaultとは、「かまぼこ型を特徴とする天井形式」を意味し、車内に入ると高い天井からの間接照明が高級感を醸し出している。
 車両はHiSE10000形と同様に20m車両換算で約7両分となる編成長約 145mの連接車両としたが、客室面積を拡大するために車体を延長したため、10両編成として編成長を揃えている。

 ■ケガキ
 車両寸法は、鉄道ファン掲載の図面を参考として模型化寸法を算出した。ボディ側板、屋根、補強材ともに 0.5t 方眼紙 を用い(以下、特に記載のない限り方眼紙は 0.5t)直接ケガきた。この電車は客用窓などのサイズ・配置の違いから、先頭車(2両)、中間車(6両)、パン付き中間車(2両)と分けてケガいた。
 先頭車は妻面から先頭部まで切り出するが、先頭部を構成する優雅な曲線が難しそう。CDかDVDの曲線を使おうと思いたが遙かに車体の方が大きな曲線なので・・・、何か無いかな~と見回すと、またまた登場「うちわ」だ。うちわの円形部分を設計図面に当てて、同じカーブのところに印を付け、そのカーブを方眼紙の先頭部分に書き写する。

小田急電鉄50000系「VSE」製作記  側板のほかに妻板、屋根板、スカート、窓枠も切り出す。妻板は、車体断面のR形状に気をつけながら切り抜き、強度を考え2枚重ねとした。窓枠は、旧型電車・客車に見られるシル・ヘッダーの様なものなので、方眼紙を1mm幅の帯状に切り出した。

 屋根は切り出した方眼紙をGMのビン塗料やマジックペンのRを使い設計図どおりに湾曲させ、2枚重ねし補強として中央に3mm角材を貼った。

小田急電鉄50000系「VSE」製作記

■組み立て
 この車両は車体断面が大きな弧を描いているので、窓などの切り抜きをする前に、ボディ板を指で内側に曲げ癖を付けておく。大体の曲げが付いたところで、客窓、客用扉を切り抜き、先に切り出した妻板のカーブに合わせるように再度曲げ癖を付ける。

小田急電鉄50000系「VSE」製作記

 ボディ材料が揃ったところで、ボディに窓枠、補強材、スカート、補強帯板を木工用ボンドで貼り付ける。スカートは下部で車体内側に折れているので接着前に折り、スカート下部全体に瞬間接着剤をしみ込ませ硬化させておく。これで工作中の衝撃にも耐え、変形などを防ぐことが出来た。

 補強材の接着が終わったら、ボディ裏側に3×3mm角材を所定の位置(床板を撮る付ける位置と肩部)に接着しました。
 屋根は設計図どおりに湾曲させた方眼紙を2枚重ね、補強として裏側に3mm角材を2本接着した。
 組み立てに入る前に、作業中の方眼紙の硬化促進と切り口のめくれを防止するためボディ板全体に、GM44番「クリアコート(半光沢)表面保護(ビン)」を溶剤で薄めたものを筆塗りした。1回目は方眼紙に良く染み込むようにかなり薄く、2度目はそれより少し若干濃く、と変化を付けて塗った。

 組み立ては、まず側板と妻板を接着し箱状にする。四隅が直角であることを確認したら所定の位置に屋根材を木工用ボンドで仮止めし、ボディ全体の歪みを補正して側板、妻板、屋根板などの接続部分に瞬間接着剤を流し固定する。
 接着剤が乾いたら再度歪みを確認し、200番位のサンドペーパーをボディ全体にかけ、大きな凸を削り取り平滑な表面に近づけます。この段階でまだ凸が目立つ様だったら、再度クリアコートを塗りもう一度200番をかけるが、この際に紙の削りカスを吸い込むので、マスクなどの着用をお勧めする。
 ボディ表面が有る程度平滑になったらクリアコートを塗り、サンドペーパーを細かい500番程度に変え平滑になるまで繰り返えす。
 表面が平滑になった(と思ったら)、サフェーサーを吹き付け表面の具合を観察する。ボディに凹凸やキズが見られる様ならサンドペーパー~サフェーサーを繰り返する。模型を上から見た時、ほとんど「真っ白!」で凹凸やキズが目立つので丁寧に下地処理をする。

■塗装
 車体色は、GM(グリーンマックス)のホワイトよりテカりのあるGSIクレオスの No.69 グランプリホワイト をベースカラーとした。車体のほとんどが白なので、下地が透けない様に気を付けながら3~4回塗装を重ねる。
 ボディ塗装後に、GM No.10 黒 で客窓を塗装し、GM No.27西武レッド で帯を入れた。帯はもう少しオレンジ色っぽいのだが・・・。

■レタリング
小田急50000系VSE
 VSEには号車番号ほか多くのレタリングがある。一番目立つのは3号車と8号車の大きなもので、入手した画像をエーワン株式会社の「インクジェット専用 転写シール」(品番:51113)で製作し所定の位置に貼り付けた。小さいレタリング類は、プリンタの性能が悪いのか文字つぶれ判読出来なくなってしまったので今回はパス。
原稿は転写シートを利用するため左右反転にしておく。

■屋上機器
 屋上はパンタグラフ搭載の3号車と8号車以外はスッキリしている。パン搭載車にクーラーが3機づつ載っているが、幅が細く市販製品に見あたらないので方眼紙で成形し、Windows の「ペイント」で描いた画像を貼り付けた。

小田急50000系VSE

■ユニット
 製作途中で問題になったのは、連接車体をどのように収納するか。1両づつ切り離し収納すれば保管も持ち運びも便利だが、編成を組む際に1両ずつ載せるのは手間取りそうだし、動力車の集電に不安がある。そこで、中間車を2両づつユニットにして、修理などでバラす以外は取り外せない様にした。上記編成図で連結間が黒くなっているところがユニットとして連結状態になっている。

■下回り
小田急50000系VSE

 台車は、日光モデルの DT-61が似ているのでこれを改造した。改造と言っても台枠の端がスカートにあたり小半径のカーブが曲がれないことがあるので台枠の一部を削った程度でほかには手をつてけてはいない。
 先頭台車については、先頭部が先細りしている上にスカートを装着しているので台車枠が入らない。そこで、プラバンを加工・組立し先台車を製作した。ホイールベースは26mmだが車輪がスカートに当たるとカーブが曲がれないことを考え24mmで製作した。しかしながら、スカートに内側から切り込みを入れるなどしたところカーブも問題なく通過し、結果的には26mmでも問題なかった様だ。

 動力は床下伝動MPギアで安定した走行をと考えたが、車体長が短く急カーブに耐えられないのではないかと思い、エンドウのトラクションモーターで走らせることにした。台車数は10両で11台車、ボギー車ならば5.5両換算なので、トラクションモーター3個をユニットの中間台車に取り付けた。
実車には「高位置空気ばねによる車体傾斜制御装置」が付いていてこれも実験したが、カーブでホロとボディに当たり脱線してしまうので取り付けを見送った。

■ライト類
小田急50000系VSE

 室内灯はチップ白色LED(20個 200円)を1両に4~5個取り付け、床下にブリッジダイオードとコンデンサ(16V 1,000μF 10個/200円)を吊し、デッキ側妻面内側の接点を経て屋根裏へと導いてる。
 車輪には集電向上のため、0.3mm径 燐青銅線で集電シューを付け、さらなるチラツキ防止のため各車両の妻板に接点を取り付けジャンパーで電流を流そうと思ったが、ジャンパーを使用しなくてもチラツキを起こさないようなので基台だけ残しジャンパーは取り外した。

小田急50000系VSE

 ヘッドライトは白色LED(5mm径)、テールライトは赤色LED(3mm径)2個を先頭部に取り付け、チラツキ防止のため コンデンサ(470μF 200個/1,400円)を無極性接続し、510Ω(1/4W 100本/100円)の抵抗で電流制限している。

小田急50000系VSE

 先頭車を床下から見ると、中央右側の黒く四角いものが室内灯用ブリッジダイオード。その右の黒い円柱形がコンデンサ。左の2つ並んだ円柱形はヘッド/テールライト用コンデンサ。

■その他
小田急50000系VSE  車内には、毎度お馴染みカツミ「シングルシート・オレンジ」に枕カバーを貼り付けた。枕カバーと言ってもVSEのものはシートを覆うものではなく、最近流行のハンドタオルを貼り付けた様なものなので、薄いペーパーを3×4mm程度に切り、赤色に塗装し座席の頭の部分に貼り付けた。ひと席1枚なので合計 360枚、これが結構ハードな作業だ
 客室とデッキの間には壁と透明ドアがあり、透明塩ビ板(カードケース(ハード)) を0.5tペーパーで挟んだものを製作し、所定の位置に取り付けた。これで、デッキ部にある室内灯用接点を隠すことが出来た。
 前面ガラスと客窓ガラスは、透明塩ビ板を所定のサイズに切り、ゴム系接着剤で固定した。前面ガラスの湾曲は、指で少しずつ癖を付けるように曲げ、ボディのカーブに合わせた。
 先頭車後部の乗務員室脇の手すりは、0.3mm洋白丸線を所定に位置に取り付けた。

小田急50000系VSE  連接間のホロは接点を取り付けたためいつもの様なペーパーを折り畳んだ形状のホロを取り付けることが出来ないため、薄いペーパー(レポート用紙より若干厚いもの)を使い3種類ほど製作し、S字カーブを通過させるなどテストをした。その結果ペーパーをアコーデオン状に折ったものをコの字状に取り付けたものの調子が良かったのでこれを採用した。
 折り角の切れ込みから中が見えてしまうかも知れないが、スポンジなどを貼り付けただけのものよりは遙かに良いだろう。ボギー車ではカーブやポイントで幌自体が横ズレするので出来ないけど、連接車では可能な方式だ


使用材料
木工用ボンド(水性/酢酸ビニル樹脂系)ダイソー
瞬間接着剤(多目的タイプ 強力瞬間 5g) ダイソー
カードケースダイソー
ボンドG17(クロロプレンゴム系)コニシダイソー
白色LED、ブリッジダイオード、コンデンサ 秋月電子
3×3mm角材、床板(アガチス)東急ハンズ
車体製作ペーパー(0.3t / 0.5t)アサクサモケイ

小田急50000系VSE

= おわり = 
2012年1月1日公開 


◆製作後記
■モデルブルーリボン賞をいただきました
小田急50000系VSE 2011年12月に行われた鉄道友の会東京支部模型部会モデルブルーリボン・ローレル賞選考会モデルブルーリボン賞をいただきました。

◆歴代受賞車両
 国鉄「フラノエキスプレス」(1987年)
 JR東日本「スーパーひたち」(1989年)
 名鉄「北アルプス」(1994年)
 京成新AE車(2009年)
 小田急50000系「VSE」(2011年)
= 2012.01.14 =
■消費電流を計測
 車両の消費電流を計ったところ・・・、

車 両消費電流備 考
フル編成走行900mA12V・トラモー3台・ライト類全点灯
先頭車(1両)36mAヘッドライト1灯+室内灯3灯
= 2012.01.22 =

■動力更新
 トラクションモーター3台で走行するVSEですが、走りが不安定だったり勾配に弱い、など現場からのレポートが有ったので、動力をMPギア方式に更新することにしました。

 新たな動力装置はエンドウ製MPギアCN-16(高速/両軸)モーターを5号車床下に搭載。片軸のCN-16モーターを2台にするか両軸を1台にするかで迷いました。VSEは10連接車なので台車は11台。走行抵抗は6両のボギー車と同じと考え、6両編成に両軸モーターで快走する前作のE259系成田エクスプレスと同等とし、また2台分の床板を工作するのには手間が掛かるので1枚工作で済む両軸モーター1台としました。
 工作は比較的簡単でしたけど、トラクションモーターを取り去った台車のトレーラー化、台車の高さ調整集電不足の解消などで時間が掛かってしまい、結局2ヶ月以上を費やしてしまいました。

 完成後の試運転では、スタート時に若干の空転をするので、暇を見てMP推進軸の空いている所にウエイトを積むことにします。

= 2018.01.15 =
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