鉄道模型工作シリーズ 9
 成田空港へ一直線
E259系成田エクスプレス
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 京成電鉄 新スカイライナーが発表されてしばらくすると、JRから253系「NEX」に代わる新しい「成田エクスプレス」の報道がありました。形式はE259系、登場は新スカイライナーよりも早く2009年、2010年中頃には全て新車に置き換わり、2010年の鉄道友の会ブルーリボン賞にも輝きました。
 JR化以降、「JRの車は作らない」と言っていましたが、ブルーリボン賞の車両を放って置くわけには行きません。京成新スカイライナーを作った勢いでE259系「成田エクスプレス」6両編成を製作しました。

E259系

■ケガキ
 車両寸法は、鉄道ファン2009年9月号(通巻581号)ならびに 10月号(通巻582号)掲載の図面を参考として模型化寸法を算出しました。ボディ側板、屋根、補強材ともに 0.5t 方眼紙 を用い(以下、特に記載のない限り方眼紙は 0.5t)に直接ケガきました。この電車は客用ドア・窓などのサイズがクロハ以外全車共通なので、5両分まとめてキガきました。クハは車端部にトイレがあるので、その分をスライドしてケガいています。
 先頭車は妻面から乗務員扉のところまで一体で切り出し、先頭部は別に作ります。
■側板加工
 ケガきが終わったら客窓、客用扉、方向幕窓を切り抜き、客室部分の肩に裏から切り込みを入れ内側に曲げます。この車両は車体断面が旧来のそれと異なり、昔の66系電車の様に台枠が垂直になっています。腰部のRは丸いボールペンに巻き付ける様にクセを付け、裾部は薄く切れ目を入れ折り曲げます。別にケガいたドア材も所定のサイズに切り抜いてから、曲げ癖を付けます。

 ボディ材料が揃ったところで、ボディにドア材、窓枠、補強材、ボディ下部の帯板を木工用ボンドで貼ます。また、肩部分に5mm幅を 0.5t方眼紙を切り出し裏側より貼り付けました。
 ボンドが乾いたところで、ボディ裏側に3×3mm角材を所定の位置(ボディ下部から1mmと肩部)に接着しました。

 妻板は、車体断面のR形状に気をつけながら切り抜き、強度を考え2枚重ねとしてました。
 屋根は方眼紙を2枚重ね、補強として中央に3mm角材を貼ります。

 組み立てに入る前に、作業中の方眼紙の硬化促進と切り口のめくれを防止するためボディ板全体に、GM44番「クリアコート(半光沢)表面保護(ビン)」を溶剤で薄めたものを筆塗りしました。1回目は方眼紙に良く染み込むようにかなり薄く、2度目はそれより少し若干濃く、と変化を付けました。

■組み立て
 まず側板と妻板を木工用ボンドで仮止めし箱状にします。四隅の直角とボディ全体の歪みを補正して側板、妻板、屋根板などの接続部分に瞬間接着剤を流し固定します。
 接着剤が乾いたら再度歪みを確認し、200番位のサンドペーパーをボディ全体にかけ、大きな凸を削り取り平滑な表面に近づけます。この段階でまだ凸が目立つ様でしたら、再度クリアコートを塗りもう一度200番をかけます。この際に紙の削りカスを吸い込むことになりますので、マスクなどの着用をお勧めします。

 さて、車両で一番難しいのは先頭部です。
E259系も最近のJR車両特有の曲線を持っているので図面と画像を精査しました。

E259系

 先頭部運転台の部分に台枠と前面貫通路を取り付けます。最初に木工ボンドで仮留めし、ボディとの接続状況、歪みなどを確認し、良ければ瞬間接着剤で固定。

E259系

 さらに肩部分に補強材を仮留めし、貫通板の垂直を確認してから瞬間接着剤で固定。

E259系

 最後にヘッド/テールを切り抜きボディ曲線に合わせて整形した先頭部側板(2枚重ね)を所定の場所に接着。

E259系

 接合部には瞬間接着剤を浸み込ませ、乾いたらサンドペーパーで平滑にしパテを薄く塗る。接合部の瞬間接着剤はペーパーを貼り付ける役目もあるが、凹部を埋めることも期待している。先頭部側板は内側に反ると完成してから顔にエクボが出来た様になるので、若干外側に反るようにしてから接着。
 画像は、パテが乾いたところでサンドペーパーで平滑にしたところ。

■ボディ表面加工
 ボディ組み立てが終わったら、全体にクリアコートを塗り乾燥後にサンドペーパーを掛け表面を平滑にします。表面に凹凸が残る様ならクリアコート → サンドペーパーを繰り返します。
 ボディ表面が有る程度平滑になったら再度クリアコートを塗り、サンドペーパーを細かい500番程度に変え平滑になるまで繰り返します。
 表面が平滑になった(と思ったら)、サフェーサーを吹き付け表面の具合を観察します。ボディに凹凸やキズが見られる様ならサンドペーパー~サフェーサーを繰り返します。
 表面が平滑になり塗装可能な状態になったところで、付属パーツをいくつか取り付けます。

 妻面には貫通路ホロのほかにホームからの「転落防止ホロ」が設けられています。模型でもこれを取り付けようと京成新スカイライナー製作の際にいろいろと実験をし、0.5tを2枚重ねにし、1mm幅にカットしたものを妻板に接着し転落防止ホロもどきのものを取り付けました。
 今回もこれを踏襲し同じ仕様のもの車端部に取り付けました。
 さらに、図面と画像から気が付いた2点の車端部アイテムを取り付けました。

E259系

■塗装
 車体色は、初代E253系と同じく白、黒、赤の組み合わせで、京成AE車にも使ったGSIクレオスの グランプリホワイト No.69 をベースカラーとしました。
 屋根はGM No.27 西武レッドを、客窓と先頭部運転台回りはNo.10 黒 で塗装しました。

■屋上機器
 E259系のクーラー床下にあり屋根上は大変すっきりしています。中間車にはFM/AM受信アンテナWIMAXアンテナが、先頭車にはこれに防護無線アンテナが付く程度です。
 FM/AM受信アンテナ はサイズの少し違うペーパーを2枚重ねにして、別作りの台に載せ白色に塗装、所定の場所に接着しました。まあ何とかそれらしくは見える・・・かな。

E259系

■下回り
 台車は、日光モデルの DT-61(223系用)が近い形状なのでピヴォットを5セット、プレーンを1セット購入。
 動力は床下伝動MPギアとして、モーターは床下機器に隠れるよう細身のLN-14(高速/両軸)を採用。京成新スカイライナーでは8両編成で2Mとしましたが、この車両は6両編成ですので1Mとして、モハE258-501(4号車) に搭載しました。
 実車は台車・車輪ともにグレーに塗られているので調色し塗装しました。

 この車両のポイントとして、連結面下部にあるヨーダンパをいかに表現するかでした。実車の様に径の異なるパイプをボディ端に取り付け稼働させれば良いのですが、何せ実車に比べカーブ半径が極端に小さいためパイプに伸縮距離が大きくなるし、車体の上下動もやはり大きく、ヨーダンパを固定した場合には車体が浮き上がり脱線するのでこのアイディアはボツに。
 試行錯誤の結果、ドローバーの形状をH型にして2mm径ビニル被覆線を利用したジャンパー線と一緒に取り付けることにしました。実車のヨーダンパと比べると動きが異なりますが、模型としては十分ではないでしょうか。

E259系

■ライト類
 ヘッドライトは5mm径白色LEDをテールライトは3mm径赤色LEDを運転台下に取り付けました。
 室内灯は定電圧レギュレータを通して明るさの均一化と、チラツキ防止をすることにしました。定電圧レギュレータは、秋月電子さん(この項のパーツは同じ)で販売されている「表面実装型低損失三端子レギュレーター[5V 0.5A](μPC29M05)(10個/400円)」(通販コード I-00493)で、容量は 0.5Aですが最大入力電圧が16Vなので、鉄道模型に向いた素子だと思えます。また、サイズも6mm×6mm程度と大変小さいので、床下や屋根裏にも取り付け可能です。

 台車より集電した電流はまずブリッジダイオード「DIP型 DF06M(7個入)600V 1A」(通販コード I-01046)で整流してから、定電圧レギュレータに入力します。レギュレータの出力側には電解コンデンサ [10V 1000μF](特価品 10個 180円)に電解コンデンサを置き、チラツキ防止をしています。

E259系

 白色LEDは、「白色チップLED UW1143B(スタンレー製)」(通販コード I-03574 20個/200円)を1両につき6~8個並べ、240Ωの抵抗で減流しています。
 クロハにある多目的室部分にもチップLEDを1個入れ、室内のシートを照らし効果を上げています。多目的室も一般客室内同じチップLEDを使っていますが、シートや壁など反射物の色調で室内の色が異なって見えます。

E259系

■その他
 座席は、カツミのシングルクロスシート(オレンジ)に白い紙片(3mm×3mm)を座席ごとに張り、シートカバーを表現。1シートに2枚づつ貼っていくと数も多く、肩こり、腰痛が頻発
 幌は従来どおりカラー・ペーパーを十字に折り重ね、四隅をカットしたものを取り付けました。

E259系

 前面ガラスは「ポカリスエット(500ml)」の曲面部分を利用、客窓ガラスは、「カードケース(ハード)」を所定のサイズに切り、いずれもゴム系接着剤で固定しました。
 乗務員室脇の手すりは、0.3mm洋白丸線を所定に位置に取り付けました。

E259系


◆製作後記
 ■2010年12月20日、室内灯のチラつき防止に使っている特価の電解コンデンサを買いに行ったけど、もう無かった。代替品として、チップ電解コンデンサ [16V 1500μF](5個/100円)を買ってきた。チップ電解~と言っても、径も高さも15mmあるので置き場所が必要だ。ほかに、径・高さ10mmの チップ電解コンデンサ [25V 470μF](5個/100円)も買ったので、併せてテストをしてみたい。

使 用 材 料
木工用ボンド(水性/酢酸ビニル樹脂系)
瞬間接着剤(多目的タイプ 強力瞬間 5g)
カードケース
ボンドG17(クロロプレンゴム系溶剤形接着剤)
LED、ブリッジダイオード、コンデンサ 
3×3mm角材、床板(アガチス)
車体製作ペーパー(0.3t / 0.5t)


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