鉄道模型工作シリーズ 8 |
成田空港へ一直線 京成新AE車の製作 |
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京成電鉄の新AE車は、都心と成田空港を結ぶ新ルート用に製造された京成電車としては3代目の空港特急です。先頭車は最高速度 160km/hを考慮しノーズ部を長くした流線型となり、地下鉄浅草線への乗り入れないことから前面貫通扉は設置されていません。 |
昨年6月頃登場した第一編成を見て、「よし、今年はこれだ!」と決め、模型誌の図面やWEB上の画像を集め、模型製作に取りかかりました。 車両形式は、「AE100形」の次なので「AE200形」になるのかと思ったら、そうではないみたい。と言うことで「新AE車」と記載することにしています。 |
■ケガキ |
車両寸法は、鉄道ファン2009年8月号(通巻580号)掲載の図面を参考として模型化寸法を算出しました。ボディ側板、屋根、補強材ともに 0.5t 方眼紙 を用い(以下、特に記載のない限り方眼紙は 0.5t)に直接ケガきました。 この電車は客用窓などのサイズが全車共通なので、8両分まとめてキガこうと思いましたが、方眼紙のサイズが足りず中間車6両と車両長の長い先頭車2両を分けてケガきました。ただ、トイレやサービスカウンターの付いた車両は車端部の処理が異なりますので、ケガきをずらすなどして対応しました。先頭車の方眼紙にはドア、窓枠もまとめてケガキます。 先頭車は妻面から先頭部まで切り出しますが、先頭部を構成する優雅な曲線が難しそう。CDかDVDの曲線を使おうと思いましたが遙かに車体の方が大きな曲線なので・・・、何か無いかな~と見回すと、有りました「うちわ」です。うちわの円形部分を設計図面に当てて、同じカーブのところに印を付け、そのカーブを方眼紙の先頭部分に書き写します。 |
■組み立て |
ケガきが終わったら客窓、客用扉、方向幕窓を切り抜き、客室部分の肩に裏から切り込みを入れ内側に曲げます。この車両は車体断面が大きな弧を描いているので、ボディ板を指で内側に曲げ癖を付けます。別にケガいたドア材も所定のサイズに切り抜いてから、曲げ癖を付けます。 ボディ材料が揃ったところで、ボディにドア材、窓枠、補強材、ボディ下部の帯板を木工用ボンドで貼ます。通常補強材は、腰部分に10mm幅のものを貼りますが、この車両にはスカートを取り付けるので、15mm幅の補強材を貼り付けました。また、肩部分に5mm幅を 0.5t方眼紙を切り出し裏側より貼り付けました。
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ボンドが乾いたところで、台車部分の欠き取りを切り取ります。ボディ下部の瞬間接着剤なしで切り抜こうとしましたが、貼り合わせた方眼紙がずれるなどしたため、ボディー下部全体に瞬間接着剤をしみ込ませ硬化させました。これで方眼紙がずれることもなく切り抜け、切り抜いたあとにも瞬間接着剤を流しました。
欠き取り作業が終わったところで、ボディ裏側に3×3mm角材を所定の位置(ボディ下部から1mmと肩部)に接着しました。 組み立てに入る前に、作業中の方眼紙の硬化促進と切り口のめくれを防止するためボディ板全体に、GM44番「クリアコート(半光沢)表面保護(ビン)」を溶剤で薄めたものを筆塗りしました。1回目は方眼紙に良く染み込むようにかなり薄く、2度目はそれより少し若干濃く、と変化を付けました。
組み立ては、まず側板と妻板を接着し箱状にします。四隅が直角であることを確認したら所定の位置に屋根板を木工用ボンドで仮止めし、ボディ全体の歪みを補正して側板、妻板、屋根板などの接続部分に瞬間接着剤を流し固定します。
ボディ表面が有る程度平滑になったらクリアコートを塗り、サンドペーパーを細かい500番程度に変え平滑になるまで繰り返します。
最近妻面には貫通路ホロのほかにホームからの「転落防止ホロ」が設けられています。模型でもこれを取り付けたいところですが、何せ実物と模型とでは曲線半径があまりにも違い、実車と同じサイズの転落防止ホロを付けると曲線で転落防止ほろ同士が当たってしまい、脱線やホロ破壊などが起きます。「曲線でホロが縮む」などのギミックを取り入れたいところですが、今回は車両製作でイッパイいっぱいでしたのでギミックは次回に持ち越しとしました。 |
画像では、R730の曲線に車両を載せていますが・・・、貫通ホロ同士が当たりそう!。(グレーの部分が転落防止ホロ)
雨樋は円形のものが取り付けられているので、0.7mm径の真ちゅう丸線を転落防止ホロの内側に、さらにホロ枠を方眼紙で製作し所定の位置に取り付けました。 |
■塗装 |
車体色は、初代、2代目のグローバルホワイトにレッドとブルーのラインから代わり、ストリームホワイト と ウインドブルー の屋根・ラインとなりました。「ストリームホワイト」、う~んカラーリストにありません。まあ実車に近いであろうと言うことで、GMのホワイトよりテカりのあるGSIクレオスの グランプリホワイト No.69 をベースカラーとしました。
屋根・ラインカラーのウインドブルーは、「日本の伝統色である藍色をデザイナーの山本寛斎氏がアレンジの上メタリック調とした・・・」これも困りました、そんな色売っていません!! 。余計なことはして欲しくないモノですhi クレオスやアサヒペンなどの一般塗料も探して見つかりませんでしたが、GM No.18 近鉄ダークブルー が最も近い色であることを発見、早速採用しました。灯台もと暗し。売るほど有るんだからもっと早く気が付けよ!! |
■屋上機器 |
クーラーは方眼紙で成形し、ファンの部分にはWindows の「ペイント」で描いた網を貼り付けました。カラープリンターでブラックとグレーで印字したいところですが、昨春にモノクロレーザープリンタに交換したためカラープリントが出来なくなりました。そこでグレーの部分は網状のドットに書き換えプリントすると、そこそこグレーっぽく見える様になりました。 |
クーラーの前後には高速運転時の風よけが付いています。これは 0.3t方眼紙で形成し所定の位置に取り付けました。先頭車は風よけが飾り板を介し車端近くまで伸びているので、方眼紙を2枚重ねし屋根に接着しました。 京成電車と言えばお馴染みの(他社にもあるけど)列車無線アンテナです。昔買ったアンテナがありそれを使うつもりでいたのですが、いざ付けようと思ったら・・・無い! 選考会まであと3日。製品を手配していたのでは間に合いそうもないので、0.3tの方眼紙より切り出しました。 不細工なアンテナですが走れば判らないでしょうか、このままで良いかな。 |
■下回り |
台車は、カツミの WDT-56(223系用)がドンピシャなので8両分まとめて購入。 動力は床下伝動MPギアとして、モーターはスカートに隠れるよう細身のLN-14(高速/両軸)を採用。 車輪はメッキ地肌では目立つので黒に塗りましたが、実車画像を確認すると、何とグレーでした・・・。どうしよう、黙ってれば判らないだろう。 |
同モーターは細いながらもトルクがありペーパー車8両なら1モーターでも問題ないと思いましたが、ウエイト搭載部分が少なくスリップなども考えられるため、4号車と5号車の2モーターとしました。ただし、モーター片軸のみの使用なので動力台車は2台となりますが、勾配のないレベル(平面)のレイアウトでは問題なく走っています。 縦型モーター時代も「4両に1モーター」(当鉄道規定)で急勾配路線も走っていたので問題はないかと。 動力車を4号車と5号車にしたのは、編成の中央であることに加え、4号車にはトイレ5号車には自販機スペースがあり、ウエイトを隠して載せるのに好都合だったからです。 ドローバーは、エコーモデルやカワイより販売されている、片側からベロが出ているタイプを標準使用していますが、この車両は車端部までにスカートがあり、車両収納の際にドローバーがスカート端部に当たり傷付ける可能性があります。片側ベロ方式の方が編成を組む時にやり易いのですが、スカートへの傷など回避出来そうもないのでカツミのドローバーを使用しました。 新AE車は編成全体にスカートがあり、床下機器は取り付け不要と考えていましたが、横からの写真を見るとスカートの下から機器の一部がチラチラ見え、どうも気になります。そこで、比較的目立つSIV装置と ブレーキ作用装置を方眼紙で製作、シルバーに塗装し床下に接着しました。装置そのものが見えるわけではないので、箱状にしたものを吊っただけです。 |
スカートの廃熱ルーバーは、Windowsの「ペイント」で作成・プリントしたものを貼り付けた。 |
4号車にはトイレがあり、床下にはトイレタンクがあります。これも方眼紙で製作、グレーに塗装し所定位置に取り付けました。 |
■ライト類 |
この車両を作るにあたり、何としてもやりたかったことはヘッドライトの4個並び。「これ無しに新AEに非ず」と言うことで、3mm白色LEDを4個並べ照射することにしました。 |
製作は蛇の目基盤を取り付けサイズに切り、LEDを差し込み、抵抗をハンダ付けし床板の所定位置に取り付けました。 部屋を暗くして走行させていると趣はあるのですが、4灯も要るのかな・・・?
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室内灯はいつもどおり5mm白色LED(2個100円)を1両に2個取り付けました。床下にブリッジダイオードとコンデンサ(16V 1,000μF/10個 200円)を吊し、妻面内側の接点を経て屋根裏へと導いています。 コンデンサの径が少し大きかったので、木製床板を少し削りコンデンサとブリッジダイオードを取り付けました。車輪には集電向上のため、0.3mm径 燐青銅線で集電シューを付けました。 抵抗はヘッドライト室内灯ともに 510Ω(1/4W 100本 100円)をLEDのプラス側に接続しています。
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■その他 |
座席は、カツミのシングルクロスシート(オレンジ)に白い紙片(4mm×8mm)を座席ごとに張り、シートカバーを表現。シートピッチが新AE車と異なりますので、2列づつ切り離し取り付けました。サスペンスドラマを見ながら貼っていましたが、数が多く、肩こり、腰痛が頻発! 側面方向幕には「スカイライナー 成田」と入るようですが、運用に就いていない製作時点ではどの様な表示になるか不明です。空いたままにするわけにも行かないので、ワープロ(一太郎)で「SkyLiner」と打ち、書体Arial、文字サイズ 5(通常の1/2サイズ)、白黒反転、イタリックなど調整しプリンターで打ち出しました。 幌は従来どおりカラー・ペーパーを十字に折り重ね、四隅をカットしたものを取り付けました。
前面ガラスと客窓ガラスは、「カードケース(ハード)」を所定のサイズに切り、ゴム系接着剤で固定しました。前面ガラスの湾曲は、指で少しずつ癖を付けるように曲げ、ボディのカーブに合わせました。
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製作後記 |
■2009年の月曜日は雨が多く、定休日にもかかわらず出かける機会が少なくなりました。そのためか模型製作のペースも上がり、目標の12月までに完成させることが出来た! 良かった良かった!! ■模型を見ていただいた方から「目がつり上がってるね」と言われます。つまり、運転台窓の両端がつり上がっていると言うことを指摘されますが、実際こんな感じなんですヨ! よく見てから意見してネ!! (2009/12/20) |
■運転台窓下側は弧を描いて上がっていますが、最初はこれが判らなくて直線で作ってしまいました。 窓上側は直線で後退しています。実車はもう少し大く後退しています。(画像右 製作途中/修正前) これらはファン誌掲載の写真では判らず、あるサイトの画像を見て気が付き 窓下側は0.5t と瞬間接着剤で修正、上側はカッターで切り取りました。(2010/02/16)
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■半径 610Rのカーブも曲がれるようにと妻面の転落防止ホロのサイズを決めましたが、610Rでは防止ホロ同士が当たっていることが判りました。さらに当社のヤードではKATOユニトラックの4番ポイント(550R)を採用しているため、直線であるヤード1番線しか入れません。 そこで 550Rを曲がれ、さらに4番ポイントの渡り(550RのSカーブ)も可能な様にカプラーの位置を0.5~1mm車端部(外側)に移しました。この改良でドSカーブが曲がれる様になり、ヤード2番線以降にも入線可能となりました !! とさ。めでたしめでたし! (2010/02/11)
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ダイソー |
木工用ボンド(水性/酢酸ビニル樹脂系) |
瞬間接着剤(多目的 強力瞬間 5g) |
カードケース |
ボンドG17(クロロプレンゴム系溶剤形) |
秋月電子 |
LED、ブリッジダイオード、コンデンサ |
東急ハンズ |
3×3mm角材、床板(アガチス) |
アサクサモケイ |
車体製作ペーパー(0.3t / 0.5t) |
この橋梁セクション、撮影台としても重宝しているのだが、物足りないな・・・ |
= おわり = |