模型工作リターン<1>
常磐線の特急電車

651系「スーパーひたち」

実車の編成
 「スーパーひたちは7両の基本編成と4両の付属編成とがありますが、今回は7両基本編成を製作しました。

ボディの製作
 ボディは「トレイン」1989年2月号掲載のT氏作図のものを、いさみやの「模型製作用方眼紙」(以下方眼紙と略)に直接ケガキました。
 ボディの切り抜きは「NTカッター」を用い、Rの部分は「パワーグリップ」を使いました。
切り抜きの終わったところで車体折り曲げのため、、車体下部より6mm、7mm、8mmの裏側にうすくカッターを入れ、シャープペンのRを利用して曲げました。車体Rの決まったところでドアを貼り付け、補強として「方眼紙」の0.5tをボディ裏側に貼り、さらに3mm×3mm角材を貼り強度を持たせています。
 ボディー下部のスカートは0.5tを5mm幅に切り、台車部分を欠き取りボンドで接着しさらに瞬間接着剤を流し固定しました。

前頭部の製作
 前頭部は角材とパテで作りボディに接着しました。これに結構手間取り片方を作ったところで面倒になり、もう一方はプラキャストで型取りをしレジンで形成しました。

屋根の製作
 屋根は従来からの木製屋根を使用しました、最近「木製屋根板が手に入らない」ととお嘆きの諸兄もおられるようですが、当社では5mm厚の木板をカンナとペーパーで削って作っているので心配はありません。木の材質については不明ですが、柔らかすぎず硬すぎず、カッターの切り込みで好みの大きさにカット出来るので重宝しています。屋根板にするには予め屋根の幅より1mmぐらい大きく切っておき、カンナで屋根のRに近くなるよう削っておきます。

下地処理
 ボディー完成後キズの大きなところをパテで埋め、さらにパテ溶液を全体に塗り乾燥の後サンドペーパーで平滑にしました。パテ溶液は「タミヤパテ」をシンナーで溶かしただけなので、ボディーにキズの状況により濃さが調整でき便利です。白系統の車体はちょっとしたキズでも目立つので、より入念な下地処理が必要になります。

塗装
 ボディーはグンゼ「Mr.スプレー・ジュニア」のホワイト(半光沢)を、屋根は同じくグレーをスプレーしました。窓枠は「アルファ・コンチネンタル・EXP」の塗装に使った「チャコール・グレー」(自己調整)を筆塗りしました。

屋根上&床下機器
 屋根上は車体全体にわたりダクトが、また、各車に2個ずつクーラーがありますが、いずれもペーパーで型を作り前頭部と同じ方法でコピーしました。

 パンタ周辺の交直機器はカツミの「交直機器パーツセット」を使っています。また、床下機器についてはスカートに隠れ見えない部分も多いので、一部を除き省略しました。

窓ガラス&窓枠
 窓枠を表現するため、窓ガラス用0.5tの透明塩ビ板に「カラー・オーバーレイ(黒)」を貼り、窓部分をはがす方法で作りました。この方法ですと無駄になるオーバーレイの方が多くなりますが、それなりに見えるので良かったのではないかと思います。

走行装置
 台車は「エンドウ」のDT-50(TR-235)が使えますが、値段が高いので困ります、ただし、プレーン軸しか発売されていないため、動力搭載以外の車両には「モア」のピポット軸受けを挿入し走行性を良くしました。軸受けを入れるため2.3mm径のドリルでさらい、瞬間接着剤(アロンアルファ)で固定しました。

 動力装置はモハ651にDV-18Cを2個載せ、棒型ウエイトを床下に、中型ウエイトを室内に載せ、ギアは特急用車両ということで14:2としました。ギアの噛み合わせなどたいした調整もしませんでしたが快調に走ります。

651系電車

床板
 当社では通常「エポキシ基板」を床板に流用していますが、在庫切れになったため3mm厚板から切り出しました。電気配線は0.4mm径程度の真鍮線を使い目立たないようにしました。

室内装置
 室内には動力搭載車をのぞきエンドウのシングルシート(赤)を入れました。グリーン車は3列なので「フラノ~」の時に使ったエンドウのシートをレジンでコピーし、1列側はカットのうえクリ-ム1号を着色しました。

連結器
 クハにはカツミの密着自連を、中間車にはカワイのドローバーを使いました。

ヘッドライトおよびヘッドサイン
 この車両の特徴としてLED(発光ダイオード)によりヘッドサインがあります。これを模型化するべくいろいろと考えましたが、ドット数を多くする必要がありHOサイズでは不可能という結論に達しました。しかし、何としてもあのチカチカがあきらめきれず、結局赤と緑の2色LEDを交互に発行させ、実車の表示に近いものに落ち着きました。
 LEDの交互発光はIC(μPD4011C)の発振をトランジスターを介してLEDに送り込むという方法です。2色LEDは一つのLEDの中に二つの発光素子があり足が3本あるものです。今回は秋月電子で見つけた3個で 100円というものを使いましたが、後日1個10円というものを同店で発見しました。

651系電車

 ヘッドライトの方はいつも通り三端子レギュレターによる「5V定電圧」を使用していますが、今回は定電圧素子には「ミツミのC517」を使いました。これは入出電圧差が0.2Vと小さく(一般的な7805などは約2V)比較的低速でも点灯可能という利点があります。

651系電車

651系電車

主なパーツ(秋月電子価格)

IC(μPD4011C)40円TR(2CS1815)10円
2色LED100円三端子(C517)100円

試運転
 完成後の試運転は本社の6畳間にカトーのユニトラックを敷き走らせています。畳のズレでアップダウンが多く、また 550RのS字カーブなどをクリアできればどこのレイアウトでもOKです。昨年11月の交博の運転会では運休もなく順調に走ってくれました。

参考図書
鉄道模型のエレクトロニクス工作
 長 真弓 著 日本放送出版協会

651系電車

= おわり =

 この製作記は、鉄道友の会東京支部模型部会の例会誌「モデルマニア」1990年1月号掲載の記事の原稿をPCから取り出し、新たに画像を撮影し構成しました。
= 2012.01.25 = 
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