■はじめに
このたびは、「モデル・ブルーリボン賞」をいただきありがとうございました。実車の投票同様大変な接戦となり、ビックリしました。
さて、私がこの車両を製作した動機は、前作「アルファ・コンチネンタル・エクスプレス」と走らせたい・・・と単純なもので、11月の交博運転会で実現することが出来ました。
■実車の編成
当初3両編成で登場しましたが、その後車両の半分をラウンジ・カーとした中間車が増備され、4両編成となりました。
フラノエキスプレス編成図
■車体の構造
車体については先頭車のローデッキ部分をのぞいてほとんどペーパー製で、いさみや「方眼紙」0.3tを外板に、0.5tを内側の補強としています。 屋根についてもペーパーを重ね合わせていますが、ローデッキ部分のみ木製屋根を使っています。
この車両を製作する上で一番悩んだのがハイデッキ部分の屋根で、強度を考え金属材料で構成しようと思いいろいろ実験した結果、ペーパーの重ねたもので十分耐えられることを確認し、図の様なペーパー屋根を作りボディにはめ込む方法としました。
ペーパー屋根は0.5t方眼紙を2枚重ね合わせた上に0.3tを貼り屋根のカーブに合わせ成形してあります。
先頭部は5mm×5mmの角材をあらかじめ設計図と写真を見てだいたいの形に削っておき、これをボディ側板ではさむ様にしてあります。
■下地処理
ボディ完成後キズの大きなところをパテで埋め、さらにパテ溶液を全体に塗り乾燥後サンドペーパーで平滑にしました。 パテ溶液は「タミヤパテ」をシンナーで溶かしただけなので、ボディの凸凹の状況により濃さが調整でき非常に便利です。 白っぽい車体はちょっとしたキズでもよく目立つので、より入念な下地処理が必要だと思います。
■塗装
ボディはグンゼ「Mr.スプレー"ジュニア"」のホワイト(半光沢)をスプレーし、ラインは「Mr.カラー」ピンク(63番)と「GMカラー」ブルトレ色(16番)を筆塗りしました。 また、窓周りはつや消しのブラックが良かったのですが、手元になかったため半光沢のものを使いました。
■屋根上&床下機器
ハイデッカーであるため屋根上機器が少なく、「クーラー」と「新鮮空気取入機」を付けただけで、某模型店のジャンク・コーナーにあった形式不明のものです。
床下機器についてはもっと簡単で、カツミのプラ製品(キハ80系用)を貼り付けただけです。
■床板
中間車の床板については一般的な3mm厚木製床板を使っていますが、先頭車は配線などを考えて「紙エポキシ基板」を使っています。 コレは表面に銅箔が貼ってあり、これをカッターナイフなどではがし配線としています。
■窓ガラス&窓枠
この車両のハイライトはなんと言っても客席から屋根にかかる大きな側窓です。 窓のカーブしている部分をきれいに見せるためいろいろと実験した結果、0.5tの透明塩ビ板をハンダゴテで暖めたドライバーの柄で折り曲げるようにしました。
また、窓枠はガラスを入れたあと黒の「レトラ・ライン」(1mm幅)を貼りましたが、なかなかまっすぐに貼れず、思ったより手がかかってしまいました。
■ヘッドライト
ライトはタミヤの「ミニバルブ」(1.5V)を3個使い、先頭車の後部にある荷物置き場に付けた電池ボックス(単三)から給電しています。 ライトのON・OFFは電池ボックス下の床板の、小型スライド・スイッチで行います(ミニバルブ/2個 150円)
■内装
今回は内装に少し力を入れてみました。 内張はガラスを入れた後、クリーム色のカラー・ペーパーを貼りました。 座席はエンドウのWシートを床板のジュータンに見立てたオレンジ色のカラー・ペーパーに貼った後、室内の所定の位置に取り付けました。
■走行装置
台車・インサイドギア・モーターともにカツミ製品を使っていますが、モーターは某模型店のセコハン・コーナーに転がっていたもので、分解・修理をしたところ動くようになったしろものです。 モーターはキハ83の荷物置き場に1個入れてありますが、4両という短編成の上車体が大変軽いので、1個モーターでも十分のようです。 ウエイトは同車の床にマッハの「鉛板」(1mm厚)を三枚重ねてあります。
なお、ウオーム・ギアは高速運転をねらい14:2にしましたが、車体の重心が高いためかカーブで転倒しやすくなってしまいました。
■列車無線
先頭車キハ84にエンドウの列車無線を、また、キハ80-501(ラウンジ・カー)の連結面に公衆電話用の無線アンテナを付けてあります。 このアンテナは電気回路の基盤に使う端子ピン(1本5円)を流用してあります。
■サイド・エンブレム
エンブレムは鉄道ファン87年8月号掲載の写真をカメラで撮り、プリントし切り抜いたものをボンドで貼り付けましたが、サイズが少し小さくなってしまいました。 12月下旬に実車のエンブレムを撮ってきましたので、プリント出来しだい交換したいと思います。
■スカート&カプラー・カバー
スカートも0.3tのペーパーで作りました。 最初にペーパーでおおよその形を作った後現物に合わせ切り抜き、瞬間接着剤で仮止めしたあとエポキシ・ボンドを3回に分け盛り固定しました。
最初カプラーカバーを付けるつもりはなかったのですが、むき出しではやはりカッコ悪いので、これもペーパーで作りました。
■おわりに
実物を見ないで設計図と趣味誌の写真をたよりに作ったため不明なことがあり、適当にこじつけ瞬間接着剤とエポキシ・ボンドで何とか完成に持ち込みました。 しかし、最初に考えていたほど手間はかからず、電車を2両作るくらいに時間で出来てしまいました。
JR北海道ではリゾート列車の第3弾として「トマム・サホロ・エクスプレス」が走り始めましたが、設計図を入手し実車の調査もしたので製作に入ろうかと考えております。
1988年1月1日
この製作記は、鉄道友の会東京支部模型部会の例会誌「モデルマニア」1988年1月号掲載記事の原稿をPCから取り出し、新たに画像を撮影し構成しました。
= 2012.04.20 =
■ヘッドライト
ヘッドライトは、1990年頃に乾電池方式をやめ、車輪集電 → 5V定電圧に変更しました。
また2005年頃に、ライトに使用している「ミニバブル」が球切れしましたが製品が無くなってしまったので、片側先頭車のみLEDに交換しました。 |